CPPブログ

サプライヤーを巻き込む品質管理

CPP資格試験1月期受験に向けて、そろそろ本腰を入れて取り組まれている方も少なくないかと思います。
CPP事務局がお届けするお勉強コラム、本日は、近年ますます関心が高まるグローバル調達のリスクです。

(本コラムは日本能率協会 ものづくりチーム長の安部が過去に執筆したものです。製造業の調達人材に必須の知識を体系化した「調達資格制度(CPP)」のテキストから、特に教育ニーズが高いスキルを紹介していきます。)
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JMA安部のCPP調達コラムシリーズ③

 消費者が購買行動に至る動機はさまざまですが、なかでも品質は製品そのものに対してだけでなく、企業への信頼に直結する重要な指標です。
したがって、ひとたびリコールを起こせば、その損害はコスト面だけにとどまりません。また、供給者がリコールを起こすと、供給がストップして自社の生産活動が困難になるだけでなく、それを使用していた責任を問われることもあります。取引市場がグローバルに拡大したいま、そのリスクの連鎖は果てしないのです。
持続的な企業活動のために、調達品の品質管理強化の必要性に迫られているのです。

 そもそも品質とは、顧客のニーズを満足させるための性能、機能性、保守性、安全性、耐久性、サービス性、互換性、リサイクル性のことをいいます。
付加価値を生み出し、他社製品との差別化を図るものでもあります。近年は地球環境に配慮されたものが好まれるなど、使用状況や時代によってもニーズは異なります。品質管理とは、これら顧客の要求する品質を備えた製品を、最も経済的に生産し提供する活動のことなのです。
 
 調達の品質管理業務は、供給者が品質を保証したものを、決められた納期通りに、適正な価格で調達することです。まずは、調達品質の目標を設定することから始め、前期の調達品全体および供給者別の品質状況を分析し、今期の品質目標と実行計画を決め、供給者にも伝達します。供給者に決められた納期を遵守してもらうことも重要です。原材料や部材が入らなければものづくりはできませんし、品質のつくりこみにも支障をきたしかねません。供給者側の遅れの原因には、機械の故障や軽微なトラブルなどが多いものです。これが頻発する供給者は、安定的な生産が行われず品質保証にも欠陥がある可能性が高いので注意する必要があります。
 また、適正価格で取引することも品質につながります。自社のコスト削減を追求するあまり供給者に無理な値下げを要求すると、供給者も利益確保のための手抜きをする原因になってしまいます。

 調達における品質管理には2つの考え方があります。一つは、供給者から調達品を引き渡される際に行う受入検査の強化によって品質を保証するもので、事後的な対応といえます。もう一つは、設計や加工、組立ての段階で品質をつくりこみ、不適合の発生を元から絶つ考え方です。供給者側の品質を高める改善をし、受入検査そのものが不要になるレベルを目指す事前対応です。

 調達部品や材料の品質向上は多くの企業が課題とするところですが、その解決には供給者の協力が欠かせません。近年は後者の考え方を重視する傾向にあり、供給者の品質管理活動を自社の品質管理の延長として捉える企業も増えています。「基本品質に関わる重要な品質問題の発生の未然防止および発生時の流出防止を確実にするための仕組み」をQCM(Quality Chain Management)といい、社内だけでなく供給者を含むサプライチェーン全体に展開する取組みです。調達担当者は、すべての品質は連鎖するという意識を常に持ち、維持向上に向けた仕組みづくりが必要です。

~以上~

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