2024年4月16日
調達と物流を統合するロジスティクス部を立ち上げ、変革を進めるアネスト岩田。CPP資格の導入は、その変革を支える調達の基盤となる知識体系として位置づけられている。今回は、部門を率いる澤野氏と、異動を機にCPPに挑戦した鈴木氏に、導入の背景や実務での変化、今後の展望をお伺いました。
経営管理本部 ロジスティクス部 部長 澤野 健樹 様 調達ロジスティクス グループマネージャー 鈴木 善之 様
※以降敬称略、所属・役職は2023年11月17日時点
御社の事業内容と、CPP資格導入の背景について教えてください。
澤野
当社は空気圧縮機と塗装機器を主力とする製造業で、売上の約65%を海外が占めるグローバル企業です。2020年、物流の2024年問題やコロナ禍による供給混乱を受け、調達と物流を統合したロジスティクス部を立ち上げました。
その中で明らかになったのが、人材育成と業務の標準化の必要性です。経験や知識にばらつきがあり、業務の進め方にも個人差がありました。共通の知識基盤とスキル評価の仕組みを整えるため、CPP資格の導入を決めました。CPPは単なる資格ではなく、調達業務に体系性と共通認識をもたらす実践的なツールとして位置づけています。
CPP資格を受験しようと思ったきっかけを教えてください。
鈴木
もともと販売・マーケティングを担当していましたが、ロジスティクス部の立ち上げに伴い調達へ異動しました。知識も経験もゼロの状態で「このままでは通用しない」と危機感を持ち、CPPの受験を決意しました。
B級テキストには契約や財務、リスク管理など広範な内容が網羅されていて、未経験でも理解しやすい構成でした。学びながら実務の曖昧さが整理され、調達の全体像が見えてきた感覚があります。私は「自分ノート」と呼ぶ要約資料を作成して復習に活用し、通勤時間にはCPP協会のオンラインセミナーを倍速で聴講するなど、限られた時間でも効率的に学習できるよう工夫しました。
澤野 異動者が安心して学べる環境をつくることも、上司の役割だと考えています。私自身もCPPを取得し、率先して学ぶ姿勢を示すことで、部門内に「学ぶことは前向きな行動」という文化を根づかせようと意識しています。
CPP取得によって、業務にはどのような変化がありましたか?
澤野
CPPを学んだことで、調達を戦略的機能として再認識できました。特に「開発購買」という考え方を取り入れ、調達が製品開発の初期段階から関与する体制を整備しています。
また、私はB級取得後、週1〜2回、朝の時間を使ってテキストの読み合わせを実施しました。これは知識の定着だけでなく、チーム全体に学びを習慣化することも狙いでした。CPPのフレームを基にスキルマップも再設計し、メンバーの得意分野や育成段階を可視化。配置や育成計画の精度が向上し、メンバーが自信を持って業務に取り組めるようになったと感じています。
鈴木 私が作成した自分ノートは、情報の重複が多いCPPテキストの要点を整理し、全体像をつかむための助けになりました。このノウハウは他のメンバーにも共有していて、チーム全体の学習促進につながっていると思います。
CPPは製造業以外でも役立つ資格だと思いますか?
鈴木
私自身、販売やマーケティングから調達へ異動した際に、調達に関する用語や考え方に戸惑いがありました。CPPの学習によって、業務に必要な知識を体系的に習得できたことで、仕事の全体像が理解できるようになり、実務でも自信を持って対応できるようになりました。
調達に関わる業務は製造業だけでなく、あらゆる業種で必要とされています。CPPは、そうした多様な分野に共通する基本的な判断軸や業務理解の枠組みを提供してくれます。業界を問わず調達の基礎を身につけたい人にとって、有効な学びの手段だと思います。
澤野 調達には契約、交渉、財務、リスク管理などのスキルが求められます。これは製造業に限らず、あらゆる業界で必要とされる知識です。特に調達体制が未整備な業界では、CPPで学べる体系的なアプローチが非常に有用だと感じています。また、部門や立場を越えて意思疎通をはかる上でも、CPPが提供する「業務のものさし」が機能していると実感しています。
CPPがキャリアに与えた影響について教えてください。
鈴木
調達未経験の私にとってCPPは、自信と行動の拠りどころになりました。異動当初は不安もありましたが、CPPで学んだ知識をもとに業務に取り組む中で、周囲からの信頼を得て、自分の立ち位置を確立できたと思います。
また、CPPの学びを土台として、リーダーや後輩との議論もスムーズに進むようになりました。共通の知識を持つことで、チームのコミュニケーションがより建設的になったと感じています。
澤野 調達畑が長い私にとっても、CPPは経験を体系的に整理する機会になりました。属人的になりやすい判断やプロセスを見直し、部門全体での育成方針を明確にするきっかけにもなりました。今後は多様なキャリアを持つ人材が調達に携わるようになる中で、CPPは個人の成長だけでなく、組織に共通の思考軸を提供する資格として重要性を増していくと思います。