企業インタビュー

ソフトバンク インタビュー

2021年3月18日

コストと戦略を両立するために、ソフトバンク株式会社は早期からCPP資格制度を導入し、組織的な活用を進めてきた。購買人材の育成と、購買業務の高度化。その両立をどのように実現したのか。CPPを軸とした組織づくりと人材成長の軌跡を、現場責任者と若手社員の双方にお伺いました。

コストマネジメント本部 コストマネジメント本部
TUコスト管理・購買統括部
統括部長 東條 敦 様 業務企画課長 大橋 和彦 様 河野 智子 様 米田 直樹 様 村上 遼 様

※以降敬称略、所属・役職は2020年1月28日時点

ソフトバンク
目次

【調達現場の革新】
CPPが支えるソフトバンクの戦略購買と人材育成

購買戦略室の立ち上げとその意義

御社における購買部門の役割とミッションについて教えてください。

東條 当社のコストマネジメント本部は、以前は購買本部と経営企画本部に分かれていましたが、コスト削減と予算管理を一体化するために統合されました。現在は約60名が在籍し、インフラ設備投資や営業マーケティング領域のコスト削減に取り組んでいます。ミッションは単なるコスト削減にとどまらず、数量やタイミング、調達方法まで含めた最適な購買を実現することです。
2015年度からは「Half & Twice(半分の時間で2倍の成果)」というスローガンを掲げ、生産性向上にも注力しています。業務の効率化と、会社の成長を支える戦略的な活動の両立を目指しています。

ソフトバンク

CPPとの出会いと取得の動機

CPP資格を教育制度に導入した背景を教えてください。

東條 2009年から、等級別に求められるスキルに応じた社内教育制度を整備する中で、実務に即した外部資格の導入を検討しました。複数の資格を比較した結果、CPPは購買・調達に必要な知識が体系的に網羅されており、実務との親和性が非常に高いと感じました。たとえば、契約管理、原価分析、サプライヤー評価、リスク管理など、購買部門で必要とされる幅広いテーマが含まれ、実際の業務との結びつきが強い点が決め手でした。さらに、日本語で受講・受験でき、研修形式も座学・eラーニング・勉強会と柔軟に取り入れやすい構成であることも魅力だと感じました。
教育成果が「資格」という形で明確に可視化できる点も、社員のモチベーション向上に有効でした。特に若手社員にとって、自身のスキルを客観的に捉え、成長を実感できる手段としてCPPは非常に有効だと感じました。導入当初は社内の認知度が低く、上層部への説明にも苦労しましたが、社内勉強会やeラーニングの整備、受験後のフォロー制度などを通じて、徐々に浸透していきました。特にグループ会社の購買部門が統合されたタイミングだったこともあり、CPPは共通の知識基盤として効果があったと考えています。

ソフトバンク

資格取得による業務改善への影響

CPP取得が実際の業務にどう役立ちましたか?

米田 私は入社2年目でCPPに挑戦しました。間接材のバイヤー業務を担当しており、製造業寄りの内容には最初少し戸惑いましたが、むしろ普段扱わない視点を得ることができて刺激的でした。特に開発購買や原価計算の考え方など、業務では得られない知識が多く、大きな学びになったと感じています。輸入業務に携わった際にも、CPPで得た知識が実際に活かされました。

村上 配属当初は目の前の案件を処理するのに精いっぱいで、業務全体を俯瞰する余裕がありませんでした。ですが、CPPを通じて、集中購買や分散購買の考え方、自分の担当業務の位置づけなどを理論的に理解できるようになりました。特に、マネジメントガイドの図表は理解の助けになっています。学習を進める中で、実務との関連が見えるようになり、購買業務に対する理解が深まりました。

東條 購買部門では、他部門と違って成果が見えにくい部分があります。CPPという指標があることで、社内外に対して専門性を証明する手段になります。名刺代わりになる資格として、対外的な信頼性の向上にも役立っています。また、体系的な学びによって、社員の問題解決力や交渉力の底上げにもつながっていると実感しています。

ソフトバンク

非製造業におけるCPPの有効性

製造業以外でもCPPが有効と感じた理由を教えてください。

東條 当社のような通信業でも、仕入れ先は製造業であることが多く、取引先の構造や考え方を理解するうえでCPPの内容は非常に有効です。業務で実際に輸入取引が発生するケースもあり、インコタームズや国際取引条件などの知識が役立ちます。また、複数の取引先と交渉するうえで、契約やコスト構造の基本を理解しておくことは大きな強みです。

米田 勉強後に輸入業務に関わる機会があり、CPPで学んだ内容が実際に活かされました。知識が業務とつながった瞬間でした。テキストで学んだ内容が実務の現場で活用できる実感が持てると、学習への意欲も高まりました。

大橋 社内の教育体系にCPPを組み込むことで、異なる業界から来た社員にも共通の土台を提供できました。バイヤーの基本的なスキルや視点を統一できたことは、業務の質を大きく高めることにつながりました。CPPは、業務知識だけでなく企業文化を横断する共通語としても機能しています。

ソフトバンク

CPPがもたらした個人の成長と今後への展望

CPPを通じて得られた個人の成長実感と、今後の活用について教えてください。

村上 資格取得後は、翌年の受験者向けに社内勉強会の講師を務めました。自分が学んだ内容を人に伝えることで、理解がさらに深まりましたし、他部門の社員と接する機会も増え、視野が広がりました。特に印象に残っているのは、学習内容を自身の業務にどう当てはめて伝えるかを意識する中で、社内の実情に即した説明の工夫が必要だったことです。教える立場を経験したことは、業務上のプレゼンテーションや後輩育成にも生かされています。

東條 CPP取得は、個人の成長を促すと同時に、組織全体のレベルアップにもつながっていると感じています。若手社員が得た知識をもとに主体的に提案する場面が増え、以前よりも部内の議論の質が向上しています。中堅層としての意識や行動も自然と高まり、外部との折衝でも自信を持って対応する姿勢が見られるようになりました。
今後は、CPP取得者がOJTや勉強会で指導役を担い、知識と経験を社内で循環させていく仕組みを強化したいと考えています。また、取得後の行動や成果を具体的な事例として可視化・共有し、業務改善や他部門との連携にも活かしていくことが重要だと考えています。

ソフトバンク