三菱重工業インタビューその4|グローバル調達の最優先事項とは何か?
海外とのやりとりでは、輸送のハンドリングや契約条件も個別に自ら関与し、決めないといけません。辛さもありますが、やりがいがあると感じております。
三菱重工業の磯 貴博さん(交通・輸送ドメイン 交通・輸送調達部 車両・空制調達課 主任)にお話を伺いました。日本能率協会の安部武一郎がインタビューします。(以下敬称略、お役職はインタビュー当時)
調達の背景がわかっていないと自信がもてない?
安部
市場がグローバルになってきているという話がありましたが、どのような課題感を一番大きくお持ちでしょうか?
磯
やはりコストダウンが、最優先事項だと思います。
当社に限らず、原価構成の中で、一番大きくは調達費が占めていると思います。それを併せて、安定調達と品質維持が調達に課せられた二大、三大責務だと思います。
安部
海外から調達され、日本でつくって輸出される製品もとても大きいですが、やはり日本で生産され続けるのでしょうか?
磯
インフラ設備機器で言いますと、レール等の完成品に近い物は、三国間貿易は可能だと思いますが、部品点数が多く、検証が多く要する車両製作は製造設備が整った場所で製作する必要があるかと思います。
また車両は客先に引き渡す前に走行テストなどのいくつかの試験等を実施する必要性があります。また艤装を行う作業員の教育も必要な為、現状では、国内生産がベストだと感じています。
また当社はそのような製作工場と、走行試験トラックをここ三原に国内で唯一の鉄道車両メーカと所持しているのが強みであると思っています。
安部
海外とのビジネスには、どのような面白さややりがいを感じますか?
磯
場合によると思いますが、国内のサプライヤーとは、発注すれば、その後はバイヤーの手間なく、輸送や納品も含め、支払いまで一気通貫で業務を進めさせていただくことができます。
しかし、海外とのやりとりでは、そう簡単ではなく輸送のハンドリングや契約条件も個別に自ら関与し、決めないといけません。辛さもありますが、やりがいがあると感じております。
安部
日本のサプライヤーとのやり取りの方が、正直楽そうですね。(笑)
磯
そうかもしれないですね(笑)
ただし、自分達でコントロールしないといけないので、その一手間、二手間の中で、辛さと喜びを感じてます。
安部
何度も受験をされて乗り越えて、今度はCPP・A級も受験されるとのことですが、もしかしたらチャレンジをして乗り越えることが磯さんの強さでありキャラクターなのかもしれないですね。
磯
はい、いつも前に向かってやっていきたいと思っています。
安部
CPP資格制度は、マネジメント層の方が法人制度導入をされるパターンもあれば、強い課題意識を持ったどなたかが、現状を変えて前に進みたいという気持をぶつけることから始まるパターンも見られます。
自分も変えたいし、仕事のやり方も変えたいというエネルギーを、この試験にぶつけていただき、それが何かのきっかけで、例えば社内やサプライヤーとの折衝の中で違いが表出化したとき、きっと会社の中でもバイヤーとして認められるのかもしれませんね。
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