和光堂 インタビュー

「いかに安定的に購入するか」ということを大事にしています。

CPPホルダーの和光堂 購買部 次長 西出竜樹さんにお話を伺いました。日本能率協会の小宮太郎がインタビューします。(以下敬称略、※会社名、所属、お役職はインタビュー当時) 
※現在はアサヒグループ食品㈱ 調達部

食品会社のグローバル調達とは?

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小宮
まず、西出さんの現在のお立場・お役割についてお話をお聞かせいただけますでしょうか。

西出
和光堂購買部の原材料を統括する立場になります。
役職は次長です。

小宮
全社に対する購買でよろしいでしょうか?

西出
そうです。

小宮
原材料以外に何か他に購買をされている物はございますか?

西出
原材料がうちの製造会社としての源泉で、それがほとんどすべてになりますね。

小宮
購買部門のローテーションというのは、どのような基準でされるのしょうか?
年数ですか?

西出
3年から4年をひとつのローテーションとして動いていきたいと考えております。

取引先との関わりもありますし、
ローテーションによって、新しいメンバーが、新しい視点を持って、新たな取組みをしていくということが求められていると考えていますので。

小宮
先ほどおっしゃられた原材料チームというのは何名で構成されているのでしょうか?

西出
原料メンバーで3名、材料メンバー2名の計5名でやっています。

小宮
商品の特性上Q、C、Dにおいて様々な課題をお持ちだと思いますが、特に力を入れているところはありますか?

西出
やはりQとCです。
取り扱っている商品が赤ちゃん向けの製品がメインになりますので、品質は最優先で配慮しなきゃいけないと思っています。

品質が満たされたうえでのコストというところもあります。まずはクオリティ、その後にコストということを意識していますね。

しかしながら、そうはいっても、どうしても経営から価格について求められることは、ハードルは高いのも事実です。

目標として、できるだけ両立するように求められています。

小宮
グローバル調達の比率はどのくらいでしょうか?

西出
全体の20%が海外調達になります。

小宮
どのような品目ですか?

西出
海外関係からの物としては、やはり乳製品関係が多いです。

小宮
海外のサプライヤーさんからの調達を決める時に、どのあたりを配慮しながらお取引を進めていらっしゃるのですか?

西出
安定調達というのが海外調達においては一番大事なのかなと思います。

安定調達の中には品質というものも含まれていると思いますので、サステナビリティや、環境面も配慮した調達が大事だと思います。

「いかに安定的に購入するか」ということが調達するにあたって一番大事にしているところですね。

調達メンバー全員が業務に忙殺されていました。

コストプロデュースができない理由とは?

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小宮
CPP資格に取組まれる前に調達部門としてどのような課題を抱えていましたか?

西出
調達メンバー全員が業務に忙殺されていました。

本来はコストをプロデュースしなければいけないですし、会社から求められる組織能力等があったのですが、それを発揮することができていませんでした。

その原因としては、戦略調達にさける時間が不足していることでした。

それから、コスト低減の方法が担当者依存型と言いますか、担当者の腕次第というところがあり、個人に頼ってしまっている状態でした。

効果ある情報をうまく取り入れきれていない状態が続いていたので、結果として「戦略的な施策が限定的で弱い」という課題をずっと抱えていたと思います。

これまで属人的にやりすぎたということかもしれません。

メンバーの強み弱みを知ることの意味とは?

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小宮
何をきっかけにCPP資格制度を知ることになったのでしょうか?

西出
先ほど申し上げた課題意識のもとで、私たち個人個人がスキルアップしていかないといけないと思っていました。

その悩みをグループ会社であるアサヒビールに相談したところ、このCPP資格制度を教えていただき、「ぜひ、これを受けたら良い」と勧められて、今回受験に至りました。

小宮
今までQ、C、Dの特にQとCを意識され、また、属人的にお仕事を進められてきたということですが、親会社の影響もありましたか?

西出
アサヒビールとは会社としての背景が違うところがありましたので、
どちらかというと、和光堂として独自にやっていました。

親会社との関係性も課題のひとつだったかもしれませんね。

「グループ各社がどのような購買をしているか」ということを、私どもがもっと把握する必要があったのだと思います。

自分達だけで属人的にやりすぎたということかもしれません。

小宮
CPP資格制度を活用して得たことやその効果はどんなことでしょう?

西出
業務と両立しながらCPP資格試験への取組みをすすめました。

取組み過程において、メンバー全員で勉強することで、彼ら各自の強みや弱みがわかってきて、どの分野をそれぞれ伸ばしていくべきか理解できたことが大きかったですね。もちろん育成面にも役だったと思います。

それは自分自身を振り返ってみてもそう思います。

他人からみた各自それぞれの強み、弱みがわかり、それをどう補完しあっていくべきかを学び、考えるいい機会だったと思っています。

「調達購買とは?」「CPPとは?」ということを機会あるごとに社内に伝え続けていきました。

調達の社内理解をおしすすめるリーダーシップとは?

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小宮
CPP資格制度をお会社の中で展開をしていくというときに、何か障壁になった物はありますか?

西出
CPPという資格試験制度や調達購買という業務を、原材料の業務に携わっている人間しか理解していなかったことですね。

社内の違う部門の人達に、調達購買とはどういう業務なのかを伝えないといけない、理解してもらう必要性があるということです。

それが、1つの壁になっていたところだと思います。

もちろんこれは経営に対してもいえます。
CPP資格制度というのはどういう物なのか、調達購買がどういう業務なのか、お互いに考え方を共有するために、社内周知していく必要があるということが1つの壁になっているのかなと考えていました。

そこを「どう伝えていけるか」が大事だと考えていました。

小宮
粘り強く説得されたのでしょうか?

西出
そうです。
「調達購買とは?」「CPPとは?」ということを機会あるごとに社内に伝え続けていきました。

その結果として「調達購買が会社組織にとっても、会社経営にとっても重要である」ということを、社内であらためて理解していただきました。

「同じ共通語でグループ各社のメンバー達と打合せができるようになろう」というビジョンをメンバーに伝えていました。

調達の共通用語で話し合えるメリットとは?

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小宮
CPP資格制度に取組むプロセスで課題になったことはございますか?

西出
取り組む前は、各グループ会社での分科会や、勉強会、打合せの中でやはり「調達の用語・言葉についての知識が不足している」と感じる場面がないとは言えませんでした。

専門的な用語もありますので、私たちには少し不足している知識なのかな、と感じていました。

そういう課題意識が従前からありましたので、CPPに取り組むにあたっては、一人も漏らさず同じ言葉で会話ができるようにすることを目標としたのです。

全員がそこをしっかり勉強して合格することが必要だと考えました。

そういうビジョン、「同じ共通語でグループ各社のメンバー達と打合せができるようになろう」というビジョンをメンバーに伝えていました。

そうすることで「前向きに受験して取組んで行く」という意志を共有し、確認することができたと思います。

ですから、「全員で合格しよう」という同じ意志のもとで受験しました。

小宮
当時、5人で受験をされた中で何人取得されたのでしょうか?

西出
5名全員が合格することができ、そのうち1名はなんと最高点が取れたんですよ 笑

現状の課題を打開したいという気持が全員にありました。

合格の秘訣は課題意識?

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小宮
難易度は決して低くないCPP資格ですが、1回で5名受けて5名全員が合格というのは、極めて高い成果だと思います。

その秘訣はなんでしょうか?
皆さんお時間の都合やご苦労があったかと思いますが。
合格する為に取組まれたこと、個人として、チームとして両面で教えていただけますか?

西出
先ほども申しましたとおり現状の課題を打開したいという気持が全員にありまして、同じ悩みを持っていたのかなと思います。

その中で自分達はスキルアップしていかないといけないという共通のテーマを持って取組んだという所から合格に繫がったと思っています。

小宮
旗振り役である西出さんの影響力も非常に大きいと思います。

西出
ありがとうございます。

正直にいいますと、自分自身でも部下に説明している内容が「本当に業界として正しい言葉を選択して伝えているのかどうか」、自信がなかったところもありました。

そういう意味でも今回CPPを勉強するにあたって同じ言葉で専門的な話ができるようになれたことが非常に良かったと思っています。

研究開発部門に異動しても、開発購買についてCPPで学んだ知識は成果をあげることに役立つと思います。

ジョブローテーションしても有効なスキルとは?

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小宮
特に役に立った部分、助けられたところなどについて何かコメントございますでしょうか?

西出
先ほどジョブローテーションの話をしましたけれど、3年から4年で私たちは購買業務から離れる可能性もあります。

そういった時に他の部門で仕事をしたとしても、購買やCPPの勉強は役に立つ内容だと思っています。

今回、研究開発部門に異動した者がおりますが、開発購買についてCPPで学んだ知識は、研究開発で成果をあげることに役立つと思います。

購買に携わっている以外の人達も一度受験ないし勉強することは非常に有効だと感じています。

会社にとっても非常にプラスになると思いますし、個人にとっても非常に重要なことだと思いますね。

小宮
これから受験される方へ応援メッセージがありましたらぜひお願いします。

西出
業務と両立して勉強するということ、そして試験を受けることはプレッシャーだと思います。

自らの業務の課題や自部門の問題にかぎらず、他部門や会社組織の強み弱みの課題、見過ごされがちだった大事なことも、CPPを通じて見えてくると思います。

プレッシャーかもしれないけれど、そういったことも学べる良い機会だと思うので、ぜひそれに負けずに頑張ってください。

小宮
本日はありがとうございました。

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