NTTコミュニケーションズ インタビュー
NTTコミュニケーションズ株式会社
小原 琢彦さん(プロキュアメント部 企画部門/第一調達部門 部門長)、
大島 貴史さん(プロキュアメント部 第三調達部門 第二チーム 担当課長)、
岩崎 宏海さん(プロキュアメント部 第二調達部門 第一チーム 主査)、
笠川 由紀さん(プロキュアメント部 第二調達部門 第三チーム)、
事務局:柴田 真紀さん(プロキュアメント部 企画部門 第一チーム)にお話しを伺いました。
(以下敬称略、お役職はインタビュー当時)
聞き手:一般社団法人日本能率協会 経営人材センター ものづくりグループ 森宮千尋
出発点は「調達部門の更なる成長」への挑戦
森宮
本日はNTTコミュニケーションズ株式会社、プロキュアメント部の皆さま4名にお集まりいただいております。
皆さまは、全員CPPを受験し、合格もされています。
本日は組織としてのお考えや資格導入の具体的な内容、また個々の受験へのお取り組みなどを伺いたいと思います。
まずは、企画部門/第一調達部門 部門長でいらっしゃいます小原さんにお話しを伺います。
小原さんがこのCPP資格の取り組みの推進者であると伺っております。
社内での推進者であるというお立場で、そもそもCPP資格導入を検討する前の段階で、貴社および部門の状況や課題を、どのようにお持ちだったのでしょうか。
小原
私が調達部門に着任したのが2015年の7月でした。
前職は法務監査部におりまして、調達部門は初めてだったのですけれども、着任してみての第一印象は、業務の幅が非常に幅広いということでした。
また、業務に就いてみると、幅広いだけでなく、一つ一つの業務の奥が深いということが、よく分かりました。
森宮
幅広いということですけれども、具体的には、どのようなことでしょうか。
小原
まず取り扱う商材です。
お客様へのサービス提供に必要な物品の調達を中心に、業務委託契約などの役務調達、あるいは人材派遣契約ですとか、直接材・間接材に関わらず、取り扱う商材の幅広さが挙げられます。
また、関連システムやプロセスのマネジメント、海外調達、契約や決算につながる支払業務なども含めて、非常に多岐にわたるミッションを担っている部門です。
森宮
小原さんは法務監査部からご異動されてということですけども、今伺ったような多岐にわたる業務を司る部門で、マネジメントの立場にいらっしゃいます。
就任時に、課題といいますか、何らかの問題意識を持たれたと思いますが、その辺りはいかがでしたか。
小原
まずは、先ほど申しあげたように、調達部門の業務が非常に多岐に渡っていますので、社員の成長にとっては様々な成長機会がある職場だと思いました。その一方で、広範な業務であるがゆえに、自分たちが所掌している仕事の全体像や機能的なつながりが見えにくくなったり、あるいは、過去からの慣習的な業務に固執したりと、全体の方向感や全体最適を見失うようなリスクもあるのではないかと思いました。
そのような時に、日本能率協会が同じビル(住友商事竹橋ビル)にオフィスを構えている(注:2017年12月まで)ということがわかり、その経緯でCPP資格についても知りました。
弊社では、社員の専門性を高める人材育成の取り組みとして、『プロフェッショナル人材育成』というプログラムがありますので、その取り組みと連動させて、社員一人ひとりはもちろん、調達部門としても、そのようなリスクに陥ることなく、更なる成長を遂げるためのツールとして、CPPという資格が非常に有効なのではないかなと考えたのです。
森宮
ご縁があって、今竹橋で、同じビル内でお仕事をさせていただいていますね。
小原
ご縁がなければ、今日のこのような場もないんじゃないかなと思います(笑)。
私ども調達部門の場合ですと、CPPを『プロフェッショナル人材育成』プログラムの社外資格の一つとしています。ちょうどそれらの検討の時期に、同じビルにいる日本能率協会が運営する認定資格としてCPPの存在を知りましたので、本当にタイミングがよく、まさにご縁だと思っています。
社内導入のために最初にとったアクションとは
森宮
ここまでCPPを知ったきっかけや導入の動機についてお話しを伺いました。
これは、様々な会社の担当者から聞かれるのですけども、「CPP資格使えそうだな、我が部門に取り入れたい」となった場合、さて社内でどのように採用して広めていくのかという点でアドバイスを求められることが少なくありません。
実際、その時点で逡巡されて、なかなか導入に踏み切れない、という声も聞きます。
小原さんは実際にCPPを導入しようと思ってからは、具体的にご自身でどのような行動を取られたのですか。
小原
具体的には、まず自分が受験しました。着任が7月でしたので、その次の試験期である1月の試験でB級を受験しました。
目的は二つあって、一つは、ありきたりですが自ら率先して姿勢を示したいと考えたことと、もう一つは、業務への活用度や難易度等、資格の内容を把握するということでした。そのため、個人学習で合格できるものかどうかの確認も含め、ガイドを手元に、独自に学習し受験するという方法を選びました。
森宮
それで見事B級に合格をされました。
合格の認定書が届き、そのことを、社内的に共有されたのですか?
小原
その1年後にA級を取得しました。当時のガイド改訂のキャンペーン期間中だったこともあって、認定証がとても立派なものだったので、それを部内でお互いに見せ合って宣伝したりしました(笑)。
導入するにあたり、自分が何をしたかといいますと、やはり自分で率先して推進するということと、推進するにあたり、社員の皆さん一人一人に語り掛けるといいますか、成長の機会としてうまく利用して、個人としても組織としても成長しましょうと愚直に話していきました。
成長の度合いの個人差はありますが、全員が成長することで、最終的には会社の成長に貢献しましょうという気持ちでした。
あとは、管理職の皆さんに申し訳ないのですけれども、管理職の皆さんは、基本的に全員受験してほしいと伝えました。更に、自己学習でやりましょう、と。そのために自分も独学で最初に資格取得したというわけです。
森宮
ご自身が率先して、B級からさらにA級も取得されて、その上で管理職の皆さまにも問いかけるようにお話しをされたということですね。
当時すでに管理職であった大島さんは、部門の中では最初の方で受験されたということですね。
まず管理職から受験
森宮
最初受験を薦められた時にどのようなお話しがあったか、覚えてらっしゃいますか。
大島
小原が先ほどお話ししましたように、体系的に調達の考え方を整理しているものだと言われました。自分はこの分野で5、6年の経験がすでにありましたが、それを全部網羅的に把握しながら考え方を学ぶいい機会だと思いました。5年ぐらいの経験を経て、自分がどの程度の立ち位置にいて、どのぐらいの理解度があって、何が足りないのか、みたいなものを測る一つの指標だと思い、CPP資格にチャレンジしました。
私も管理者なので、チームのメンバーにも率先して引っ張っていくためにも、自らが推進していったほうがいいかなということで、CPP・B級のみならずA級にもチャレンジさせてもらいました。
森宮
ちなみに、「うわ、こんなにたくさんのことを勉強しなくてはいけないのか」という抵抗感みたいなものはありましたか。
大島
いや、抵抗感はなかったですね。
今まで自分が業務を経験してきた中で、当然知っているものもあれば、少し弱いところというか、あまり意識していなかったところもあって、そのようなところを網羅的に見ることができました。
自分たちの部の中では調達とはこういうものだというイメージが既にあるのですけど、他の業界の方や、一般的な考え方と照らし合わせてどこにギャップがあるのかなど、そのようにして客観的にみることができることは、とてもいい取り組みだと思います。
森宮
ところで、現在担当されている業務は、どのようなものになりますか。
大島
以前はサプライヤーマネジメントを担当していました。現在は物品の調達業務を担っています。
森宮
CPP資格を取得後、ご自身の業務との関連性など実感されることはありますか。
大島
交渉、CSRやコスト分析などはこれまでも実践しており、それらの分野のことはある程度分かっていましたが、製品別戦略の考え方では、製品ごとに考え方や攻め方が違うというような点など、自分が気付いてなかった部分もあったので、気づきを少しずつ取り入れて、業務や改善につなげていこうとしています。
森宮
なるほど。先ほど部門長の小原さんから、この資格を最初は管理職の方々に広めようということで、その第一陣のようなかたちで、大島さんが取り組まれました。
そして今度は大島さんが、また同じように、部下の方々に資格を勧めるというような流れになるのでしょうか。
大島
そうです。
私も資格取得をチームメンバーに勧めていますし、今、小原が全部内に対して推進しているので、管理職だけでなく、社員の皆さんもB級から取組みましょうと組織的に呼び掛けています。
CPP資格取得を勧められてからの取り組み
森宮
組織的に資格のことが伝播していった経緯がよくわかりました。
続きまして、B級を取得された岩崎さんにお話しを伺います。合格されたのはいつですか。
岩崎
2年前です。
森宮
資格取得を勧められたときのことは、覚えていますか。
岩崎
もちろん、覚えています(笑)。 突然、当時の上司から言われて受けました。資格のことは全く知らなかったのですが、特に驚きはありませんでした。
森宮
岩崎さんは、現在どのような業務をされていますか。
岩崎
現在は、グローバルの子会社や関連会社の調達活動をマネジメントしています。
森宮
2年前に資格の話しが来た時に、突然受けるように勧められたとのことですけれども、その時のニュアンスはどのような感じだったのですか?受けてください、なのかそれとも受けたほうがいいですよ、という感じのどちらでしたか。
岩崎
半ば強制のような感じだったと思います(笑)。
森宮
そうですか(笑)。
その時点で、試験までの準備期間は、どれぐらいあったのですか。
岩崎
2カ月ぐらいだったと思います。
森宮
ではもう、言われてすぐに準備スタートということになりますね。
岩崎
そうですね。
試験対策セミナーを受けまして、それで試験が2カ月後という感じでした。
森宮
実際に学習方法などについては、何かアドバイスのようなものはあったのですか。
岩崎
いや特にありませんでした。ガイドに従って自分で学習しました。
森宮
お隣の笠川さんも合格、B級を保有されております。
笠川さんの現在の業務についてお話しください。
笠川
主に役務の調達を担当しています。契約センターのオペレーションですとか、決算期に契約センターが忙しくなるので、そのときのマネジメントなどをする業務です。
また、契約書の未返送案件の管理などをしております。
森宮
役務中心にご担当されているということは、資材や原料調達とは、またちょっと違う分野をご担当されているのですね。
笠川
そうです。
社内では、プロフェッショナル人材育成プログラムを実施しており、年に1度スキルを計測することになっています。現在のプロキュアメント部の業務で8割程度の評価を獲得しないと、スキルを計測した結果認定されるマイルストーンという指標の値が上がらないのですが、自分の携わっている業務を習熟していても、調達の中の他の分野が未経験だと調達のマイルストーンを上げることができないという悩みを抱えていました。
そこで、上長にこのCPPのB級を学習し資格取得することで、自分の調達の専門性の向上が証明されるので、取得すればマイルストーン1の社外基準を満たしたとみなされますよと、頑張って取得するように勧められました。
森宮
なるほど。
それは結構なチャレンジでもあったかと思います。
笠川
自身の主担当の業務ではありませんので、そうとも言えます。
ただ学習することによって、部内の他の担当で行っている統一見積もり様式や、サプライヤーの絞り込みの手法など、理論構築があって取り組んでいるという、体系立ったものが理解できてよかったです。
NTTコミュニケーションズが目指すプロフェッショナル人材育成
森宮
笠川さんのお話しの中で、「プロフェッショナル人材育成プログラム」の話しが出ました。
ここで、小原さんに再びお話しを伺います。
今、笠川さんのお話しでマイルストーンというワードが出ました。実際にどのようにマイルストーンというものを設定されて、評価軸になっているのか、貴社の人材育成のお取り組みとして、まずは背景から教えていただけますでしょうか。
小原
資料をご覧いただいたほうがいいかもしれません。プロフェッショナル人材育成プログラムという、全社の標準的なプログラムのことを指しています。
私どもがグローバルで勝ち抜いていくために、いかに社員の専門性を高めていくかを考えて作られたプログラムです。
人材育成プログラムの柱の一つなのですが、ピラミッド型の下の方からマイルストーンが1から3まであり、この3段階のレベルで専門性を認定していくプログラムです。
年度初めに本人が、自分のキャリアに合わせてスキルアップ計画を立てて、上長とすり合わせたうえでスキルアップに取り組み、冬にスキル診断を行うというサイクルで取り組んでいます。
そのような1年間のサイクルを通じてPDCAを回していくというような仕組みになっています。
専門分野としてメインカテゴリが9つありまして、その中にサブカテゴリが30あります。社員一人ひとりが、専門分野の背番号を持つような感じになっています。調達もその中のサブカテゴリの一つで、その専門性を認定する基準の一つが、社外資格であるCPP資格ということになります。
森宮
このマイルストーン判定も含め、今説明いただいた人材育成の考え方がよくわかりました。
部門内でも制度そのものが浸透しているのですね。
その上で、CPP資格というものも、一つの要素として組み込まれているということは、結構徹底されていたということなのですね。ありがとうございます。
部内全体の受験対策なども含めてお話しを伺いたいと思います。
受験対策セミナーを皆さま受験されたと伺っております。
近年非常に受験対策セミナーでの合格率が上がってきています。
皆さまお忙しいので時間を買うつもりで受講いただくこともあると思います。
とはいいましても、対策セミナーの受験だけで合格が保証されるわけではありません。対策セミナー以外での受験対策や個人での工夫された点などありましたら教えてください。
まず岩崎さんからお願いいたします。
受験対策の具体的なポイント
岩崎
試験対策セミナーのテキストだけでは、やはり全部網羅されていませんので、ガイドの関連部分を読んで、補強して、勉強しました。
森宮
先に受験された方のアドバイスを聞いたりはされましたか。
岩崎
私が受験したときは、組織としても最初に取り組み始めた頃、多分初めてに近かったと思います。
他にも一緒の時期に受けた同僚もいましたが、アドバイスする立場にある人もなく、ある意味先駆者です(笑)。
大島
最初は合格する確度の高い人に指令が下ったのかもしれません(笑)。
森宮
それはあるかもしれませんね(笑)。
笠川さんは学習についていかがでしたか。
笠川
私の時は、社内でCPP・B級の勉強会がありました。そのときはセミナーガイドを全部覚えれば受かると言われて、スマホに写真をとってチェックペンを使ったアプリ(注:2016年11月~2017年3月まで受験応援キャンペーンとしてぺんてる社の電子文房具をガイド購入者にプレゼントしていました)の存在を教えてもらって、実際に使ったりして通勤中の勉強をするなど工夫をしていました。
でも、対策セミナーのテキストだけを集中的に見直してはいたのですが、1回目は落ちてしまいました。
2回目を受けた時には、そのときに、やっぱりこのスタディーガイドを読み込まないと駄目だと思い、きちんと読み込んだら、ようやく体系立って理解できたような気がしました。
森宮
(学習用のガイドを手に取って)この辺りが付箋だらけですね。
このような蓄積があると、重要ポイントとかが何となく浮かび上がってくる感じもします。
実際受けて合格されたときの感想はいかがでしたか。
笠川
1回目500点ぐらいで落ちてしまって、次受けたとき630ぐらい、8割近く点数を取れたので、やっと理解できたと思ってうれしかったです。
森宮
先駆者の岩崎さんは、合格されたときはどのようなお気持ちでしたか。
岩崎
ほっとしましたね。
終わったときは満点かなと思っていたんですけど(笑)。7割かぐらいしか点数取れていなかったので、あれ?どこ間違ったのだろうなとは思いました。そこはちょっと知りたいなと思いましたけどね。
CPP資格取得後、何が変わったか
森宮
合格されてからの2年を振り返って、受験したことによって生じた変化はありましたか。
岩崎
私自身は、実は10年近く調達業務に携わっていて、ここ6年ぐらいは海外、グローバルの方を担当しています。経験で大体「こんなことかな」と思っていたことを、受験することで知識として体系化するという意味と、同時に今までの業務経験の中でいろいろ試行したり議論しながら行っていたことが間違っていなかったことを確認する、それらの二つの要素があったと思います。
CPP・B級に合格した、わりとほやほやのとき、ここにいる同じくCPPホルダーの大島さんは当時サプライヤーマネジメント担当の課長でした。その時、サプライヤーマネジメントポリシーという海外に通用する指針を作成しましょうと彼に提案して、一緒に作成したのです。
そのときにCPPで学んだサプライヤーの体系的な考え方も参照しました。そういう意味では、資格を取って以降得た知識やスキルを実際の業務の中で活かすことができたのではないかと思っています。
森宮
サプライヤーマネジメントポリシーというのは、岩崎さんと大島さんとご一緒に策定されたということですけれども、具体的にはどのようなものなのか教えてください。
大島
競争環境にある領域とない領域とか、調達ボリュームが大きいとか小さいとか、そのようなマッピングのようなものが、CPPのコンテンツにありました。
われわれの取引先管理は、さきほど申しあげたとおり製品やジャンルごとに攻め方が違うことが分かったので、そのジャンルごとに攻め方を体系立てることができました。
自分たちでも何となくもやもやってあったのを、ちゃんとドキュメントとしてマニュアルに落として、自分たちのポリシーも確立し、それを海外の現地法人にも「こういう考え方でサプライヤーマネジメントというものはあるべきだ」という説明もしました。実際に評価シートも作成し、PDCAを回すことをやり始めたので、これがいいきっかけとなって、業務の改善にもつながったと思っています。
森宮
CPP資格取得を経て、組織としての土壌といいますか準備が整って、体系づくりに着手されたということですね。とてもいいお話を伺いました。
大島さんは、A級にもチャレンジされて見事合格されています。B級とA級の違いについてどう思われますか。
大島
B級はセミナーのテキストと教科書を広く薄く、全体的に網羅されており、専門用語の理解や知識を深める感じでしたが、A級はより実践的な判断や考え方が求められるものでした。A級の試験対策のセミナーを直前に受講させていただいて、その内容を参考にしながら、自分が普段判断しているポイントとの整合性を確認しながら、A級の試験には臨みました。
CPP取組後、組織全体で実感できる変化とは
森宮
ここで小原さんに伺いたいと思います。
小原さんは、今皆さまのお話しを聞いていただいていますけれど、最初にご自身で受験されて、そこからどんどん組織内で派生していきました。実際の業務や、部の皆さんのモチベーションが上がるなど変化が出てきたことを今のお話しからうかがい知れますが、それらの変化についてはどう思われますか。
小原
改めてこのようなインタビューの機会を今日いただいて、みんなの話を聞きますと、それぞれの苦労も改めて分かりますし、その熱意に感謝したいなと思います。
2年前に取り組みを始めた時は、みんなが先駆者であって、先陣を切っていただきました。当初は「何で資格を取るの?」というような疑問もあったと思います。
2年取り組んで、ようやく今、資格取得の意義や有益性の理解が深まり、しっかり推進するようなかたちになってきたかなと思うので、ここからもっともっと業務に活かしていきたいなと考えています。
資格を取得するのが目的にならないようには留意しないといけないなと思っていて、それをいかに自分たちの業務に活かすかというところに重きを置いて参りたいと思います。
森宮
大島さんに伺います。管理職のお立場として、今後部門をどのようにしていきたいか、思うところがあれば教えてください。
大島
CPP資格を通じて、自分たちは標準的な考え方を身に付けたうえで業務を遂行する部分は、そのまま継続していきたいと思います。この標準的な考え方でわれわれができていなかった部分については、少しずつそれらの考え方を取り入れ業務改善できるのではないかと思います。今後もプロセスを改善していけるように、現在少しずつ情報発信をしていき、部内での改善につなげていくような取り組みをしていますので、引き続き発展させていきたいなと思っています。
森宮
岩崎さんは、今後のご自身の業務についてどのようにお考えですか。
岩崎
CPP資格の勉強を通して幅広い領域の勉強をさせていただきました。、私の業務で携わっている調達にとってはなじみの薄い分野の内容もありました。例えば製造業の調達に関する内容などです。
一方で、サプライチェーンの一環としての調達の役割については、ますます重要になってきている状況の中で、改めて、なじみの薄い分野も含め、全体を俯瞰することが重要だと思いました。
森宮
笠川さんは、いかがですか。
笠川
現在私は、担当業務として簡易電子契約の導入検討を担っています。そのプロセスにおいて、RFPの前にNDAのひな型を出して確認するなど「きちんとセオリーどおり進めているな」と、打ち合わせに参加していても、自身で理解できるようになっているのが、資格試験を通して勉強した成果だなと実感しています。
契約担当として、これから契約する案件のエスカレーションを受けたりすることもあるので、そのようなときにCPP資格で学習した知識を使って、先行的に提案するなどして会社に貢献できればいいなと感じています。
森宮
本当に実践されているのですね。応援しています。
プロフェッショナル人材育成への取り組みについて
森宮
最後に小原さんに、貴社の人材育成の柱であるプロフェッショナル人材育成プログラムの今後について、お考えをお聞かせください。
小原
一つは、本当の意味で調達のプロというか、グローバルでも国内でも通用する実践的な専門性を高めるという目標があります。これは今までと変わりありません。もう一つは、先ほど申しあげた成長の段階を示すマイルストーンがレベル3に到達しますと、社内でプロとして認定することになっています。実は現在のところ、調達分野でプロ認定に該当する人材は出ていません。
大島課長にはぜひマイルストーン3を取ってもらいたいなと(笑)思っています。
調達の重要性を経営的にも理解してもらっていますし、われわれ自身も自負を持って取り組んでいますから、結果的にそのような調達のプロがどんどん生まれてくると思います。それを客観的に認定し評価できるものの一つの指標がCPP資格であり、資格を取得した人材を増やし、彼らに後進をけん引してほしいと思っています。毎回本人には言っているのですけれども(笑)。
森宮
では大島さんに少しずつプレッシャーがかかってきているわけですね。
大島
そうですね(笑)。
私も担当して5年ぐらいになりますが、世の中の調達組織の方というのは、調達一筋で、本当に入社してからずっと担当されて経験豊富で、みたいな感じですけれど、弊社の場合は調達一筋みたいな人はいません。
ではその代わりにどう専門スキルを高めるのか、対外的に説得力を持ちうるのか、というところでCPP資格のスキームをうまく活用させていただいています。個々のスキルアップにもつなげていきたいですし、業務にも実践していくという意味で、本当に部全体を盛り上げて、いい調達活動ができるようにしていきたいなと思っています。
森宮
小原さんのメッセージを受け止めたということですね。
小原
本日一番の成果です(笑)。
森宮
岩崎さん、ご覧になっていかがですか?
岩崎
いいやり取りだなと思いました(笑)。
森宮
そのうちご自身にも矛先が…
岩崎
頑張ります(笑)。
これから受験する人・受験を迷っている人・組織導入を検討している人へのメッセージ
森宮
最後に一言ずつ、これはインタビューの際いつも皆さまに聞いているのですが、これから試験を受けてみようかなとか、社内で取り組んでみようかなと思っている方々に向けて一言ずつメッセージをいただいて、インタビューを終了したいと思います。
まず小原さん、特に資格制度の組織導入を迷っている方に向けてメッセージをお願いいたします。
小原
まず始めることかなと思います。
当初は様々な意見がありました。
「通信事業の調達には合わないのではないか」とか「全員に必要なの?」などありましたけども、はじめは一人でも、始めることでどんどん理解も深まりますし、理解者も増えますから、とにかく始めることが重要かなと思います。
また、今年度の事業計画を立てるにあたり、キックオフとして、能率協会の講師の方に来ていただいて、1日コースで管理者の合宿研修を実施しました。
そのような形で、他社の取り組み事例やCPPの考え方の理解を深め、また、管理者間の共通認識を醸成することもできますので、このような取り組みも、CPP資格取得を組織へ浸透させる一つのサポートになるのではと思います。
森宮
ありがとうございました。
大島さんはいかがでしょうか。
大島
やはり自分たちの業務を客観的に、広く体系立てて勉強する、知るために、非常にいい内容というかカリキュラムだと思っています。
臆することなく取り組めば、そこでの気付きもあり、自分の成長には必ずつながると思いますので、チャレンジしてほしいと思います。
森宮
岩崎さんはいかがでしょうか。
岩崎
三つメッセージあります。
一つは、CPP資格を目指すことで、業務で経験していることを実際に活用できる知識として身に付けるきっかけになるということです。
二つ目は、業種に関わらずどの会社も当然調達活動があるわけで、社内外との共通言語の理解が深まるということです。現在私は現地法人や関連会社の調達担当者とコミュニケーションをとることが多いです。彼らの中には、プロキュアメント(調達)一筋の専門家もたくさんいます。そのような人たちと話を進めていくときに、共通言語があることで、コミュニケーションが円滑になる、これは重要なことだと思います。
三つ目は、スコープです。
今まで自分たちの業界の枠内で考える調達の分野は、製造業の企業の調達業務に比べれば、範囲が狭いと感じていました。
CPP資格試験を受けることで、他業種における調達の領域が理解できますし、理解した上で調達に取り組むと一人一人の視野が広がります。また、それを会社にフィードバックしていくと、会社全体の成長につながると思います。
こういう三つのメッセージにある内容が、体系的なCPP資格を通じて獲得でき、実感できるので強くお勧めしたいと思います。
森宮
笠川さんはいかがでしょう。
笠川
調達の専門性を体系的に勉強できるだけでなく、その中で出てきた手法などは、他の業務でも活用できるものです。私は次にA級も目指して頑張っていきたいと思います。
森宮
どうもありがとうございました。
皆様のご活躍をお祈りしています。
インタビューを終えて…
今回のインタビューを企画していただいた柴田さん(CPP・B級ホルダー)に、インタビュー終了後にお話しを伺いました。
柴田
私がこのプロキュアメント部に来て3年が経ちます。小原さんが「調達の認知度を向上させよう」ということをずっと話されているのを聞いていて、ある日ふと思ったのです。CPPの取材を受けさせていただくのはどうかと。
様々な取り組みをしていて、それらをご紹介できる機会になればと思いました。
自分たちの成長のきっかけにもなりますし、「Comのプロキュアメント部は頼れる組織なんだ」ともっと思ってもらえるようになるのではと考えました。『頼れる調達』を目指そうというスローガンとして。
調達業務はマーケットの変化も激しく、社内での担当者も交代があったりする中でメッセージを共有できることで、相乗効果が出るのではと思いました。
同時に、社内報も活用して、CPP資格の存在をよりよく知っていただいたり、取得をするだけではなくて、プロキュアメント部ではこのように業務に活用しています、といった例をもっと知っていただきたいという気持ちもありました。
社外にも「NTTコミュニケーションズの調達組織なかなかやるな」と思っていただけるような、そのような機会があってもいいと思ったのです。
森宮
それは事務局としてもうれしい限りです。
本日お集まりいただいた皆様のお話しを伺って、素晴らしいお取り組みだと思いました。ありがとうございました。