奈良岡様 インタビュー
浄水場、下水処理場等の電気設備のメンテナンス、現場サービス員による機器補修の部品や電気関係の補修に関する購買をしています。
CPPホルダーの奈良岡郁雄さん(水処理エンジニアリング企業勤務)にお話を伺いました。(以下、敬称略)
エンジニアリング会社における調達の役割とは?
(安部)
本日は、水処理エンジニアリング企業に勤務していらっしゃいます奈良岡様にインタビューさせていただきます。
まず、お仕事の内容とお役割についてご紹介いただけますでしょうか?
(奈良岡)
浄水場、下水処理場等の電気設備のメンテナンス、現場サービス員による機器補修の部品や電気関係の補修に関する購買をしています。
基本的に買う物は電気設備の点検、補修に関する購買品になります。
(安部)
設備や部品の調達の他に、要員の確保にも携わるのでしょうか?
(奈良岡)
人の確保に関する業務もありますね。
(安部)
ソリューション購買グループのソリューション購買が、保守やメンテナンスの意味合いを含んでいるという理解でよろしいでしょうか?
(奈良岡)
そうです。
ソリューションなのでお客様の課題を解決するということですね。
(安部)
ちなみに、ソリューション購買以外にもグループはおありですか?
(奈良岡)
あります。浄水場、下水処理場等の新設・更新・増設、工事関係は別のグループでやっております。
電気設備も機械も、それ専門に扱うグループがあります。
OJTでは体系的には教わることができないと感じました。口頭でも先輩なり上司から指導があったのですが、CPPは体系的で学ぶのに適していると思ったのが、一番大きな理由です。
OJTでは教われないこととは?
(安部)
CPPを知っていただいたきっかけを教えていただけますか?
(奈良岡)
CPPを知ったきっかけは、上司からの紹介です。
私の他にも紹介されていて、部内で10人程受験していると思います。
(安部)
上司の方からご紹介があり、実際に受験するまでの経緯はいかがだったのでしょうか?
(奈良岡)
紹介を受けてすぐ受けたいと思いました。
私は技術部の在籍を1年ほど経て調達部に異動し、ちょうど1年程購買についてOJTで教えてもらいました。
でも、OJTでは体系的には教わることができないと感じました。
口頭でも先輩なり上司から指導があったのですが、CPPは体系的で学ぶのに適していると思ったのが、一番大きな理由です。
それから、一人前の先輩バイヤーの方にすぐにでも追いつけるような存在になりたい、という意志がありCPPを受けました。
「各業種のバイヤーはこういうふうに考えて、準備をして、基盤もあって購買しているのだ」というのがすごく参考になりました。
異業種のバイヤーから学べることとは?
(安部)
調達部に異動されて1年間で、調達の仕事を体系的に理解するのはなかなか難しかったということですね?
(奈良岡)
そうですね。調達というお仕事は経験が物を言うようなイメージがあり、先輩も口を揃えて口で教えるのは難しいと言われていました。
自らの経験の積み重ねで覚える部分が大きいということもありました。
一方で、講習を受けたりするとスーッと頭に入ってきたり、腑に落ちるようなことが結構ありまして、日本能率協会のセミナーで、神谷先生の「新任バイヤー早期戦力化セミナー」を受け、その流れで試験もぜひ受けたいと思ったのです。
(安部)
「新任バイヤー早期戦力化セミナー」がお役にたてたのですね。
(奈良岡)
そうです。
(安部)
ご参考まで、「新任バイヤー早期戦力化セミナー」で、一番印象に残っている点を教えていただけますか?
(奈良岡)
印象に残っているのは、神谷先生が参加者の方々に質問をしていたのです。
いろんな業種の調達部から集まってきた人達に対して「あれはどうなの?」と結構質問をされていました。
その回答を聞いていて「各業種のバイヤーはこういうふうに考えて、準備をして、基盤もあって購買しているのだ」というのがすごく参考になりました。
テキストも体系的にまとまっていました。
(安部)
御社内での調達関係の教育や学習の機会は他にありましたか?
(奈良岡)
部内教育以外は、日本能率協会のセミナーしかなかったですね。
あとは自分で本屋にいって調達関係の本を読んでいました。
受験までの障壁は特にありませんでした。
CPP資格取得者のつながりとは?
(安部)
CPP資格制度を知っていただいて受験されるまでに、ご苦労や障壁などございましたか?
(奈良岡)
特には無かったと思います。
(安部)
費用はお会社負担でしょうか?
(奈良岡)
そうです。会社負担でやっていただきました。
(安部)
もし合格できなかった場合は、
もう一度受けることもできるのですか?
(奈良岡)
もう一度は、おそらく自費でないと受験しにくいと思います。
特にやるなとは言われていませんが、自重すると思います。
(安部)
スタディーガイドについてはいかがですか?
(奈良岡)
スタディーガイドは会社で買ってもらっています。
(安部)
先輩からのアドバイスなどはあったのでしょうか?
(奈良岡)
ほぼ、無かったです。
合格者がまだいなかったので。
(安部)
CPP資格制度での効用のひとつとして、CPPを利用したベクトルあわせや、みんなでそれをもとに勉強しあったことによるチームビルディング、CPP資格取得者同士の繋がり等も出てきているようです。
そんな活用もしていただいたら嬉しいなと事務局のほうで思っています。
購買の仕事を始めた時、もちろん技術的な知識は必要ですが、それに加えて対人交渉術などが求められました。
技術と調達の関係とは
(安部)
技術部門から調達部門へ異動された際、仕事の内容や進め方が違うなと思われたことなどはありましたか?
(奈良岡)
技術部と購買の仕事は密接に絡み合うべきだと思うのですが、内容が全く異なる印象を持ちました。
購買の仕事を始めた時、もちろん技術的な知識は必要ですが、それに加えて対人交渉術などが求められました。
(安部)
調達では、より人との絡みが生まれてくるということですよね。
(奈良岡)
それは、社内にも社外にも求められます。
建設や増設など、与えられたプロジェクトに対して購買部の担当バイヤーがそのプロジェクトに対し経営的な管理をします。
例えば、技術的なコストが多くなってしまうようであれば、それを止める必要があります。
お客様からの要求に対して、それがもし契約外であれば、社内にも厳しく対応(プロフィット・コスト管理)をしなければなりません。
社外に対しては、スタディーガイドにも書いてありましたが、常に公平、公正に、俯瞰的なから目線と会話でコストを押さえるということを目指すことが必要だと思います。
(安部)
技術部門の気持もわかりながら、今は調達をされているわけですね。
(奈良岡)
そうです。たまに心痛い時もありますが、こらえつつやっています。
バイヤー業務を20年近くやっておられて「バイヤーとして完成されている」と、私が尊敬している先輩がCPPを受験されたのですが、その方が「客観視できてよかった」とおっしゃっていました。
調達によるコーディネーションの意識と文化とは?
(安部)
スタディーガイドの中でも主張していますが、調達部門が社内外含めてコーディネーションするという動きは、すごく求められていると思います。
先ほどお聞きしたコーディネーション的な調達機能は、元々エンジニアリング企業にはあるのでしょうか?
(奈良岡)
会社の成り立ちが、元々製造会社の一部門だったこともあり、物を作ってエンジニアリングもする事業部でしたから、そういう意識や文化はあったのだと思います。
(安部)
ただ物を調達する、ただ購買するということではなかったということですよね。
(奈良岡)
そうではないですね。
(安部)
CPPでは、そのようなコーディネーションの重要性を主張しているのですが、元々そのような意識や文化をもってらっしゃったエンジニアリング企業の中でCPPを評価いただけた点をお聞きできますか?
(奈良岡)
特に、スタディーガイドの中で、「調達が介入するタイミング」や、「部を横断して購買が影響を与えていく」という部分は「うん、確かにそうだな」と感じました。
「実際にやっていることと合致したな」ということだと思います。
(安部)
それはスタディーガイドにも書いているし間違ってないなという確信を得ていただいたということでしょうか?
(奈良岡)
そうです。
非常に印象に残っていることがあります。
バイヤー業務を20年近くやっておられて「バイヤーとして完成されている」と、私が尊敬している先輩がいます。その方もCPPを受験されたのですが、その方が「客観視できてよかった」とおっしゃっていました。
「今まで体系化された物と自分の業務を見比べる機会が無かったが、CPPの内容をみて、あらためて、今までやってきたことは、間違いではなかったな」というコメントをされていたのがとても印象に残っています。
異動してきたばかりの時期に体系化された学習をできたことで、仕事に勢いがついたと思います。
CPPは初心者向き?マネージャー向き?
(安部)
ベテランの方もいろんな会社で受けていただいていますが、ご自身の知識の棚卸しや、ご自身が今までやってこられた業務の確認として受けていただいているパターンは結構あります。
仮に奈良岡さんがこれからもずっと調達業務をされていく場合に、CPPの経験有無によってどのように仕事の進め方が変わるでしょうか?
(奈良岡)
まず一番大きな効果は、異動してきたばかりの時期に体系化された学習をできたことで、仕事に勢いがついたと思います。
そのあとに効果を引き出せるのは、マネージャーだと思います。
組織論も出てきますし、教育の際には体系的な話もできます。経験とスタディーガイドの知識をミックスして話せれば、部下の成長も早いのではないかと思います。
ただ、なかなか年配の方で自ら受験をしたいという人は少ないのかなと思います。
(安部)
そうなのです。おっしゃっていた上司の方はすごいと思います。
やはり年配の方にとっての試験勉強は億劫だと思いますし、チャレンジするのも簡単ではないと思うのですが、そこでチャレンジをされてご自身の技術の棚卸しをされた方は実際にいらっしゃって、高い評価をいただいているのです。
ぜひ試していただきたいと思っています。
勉強する中でいろいろと興味が広がって、サイクルが上手く回りだすと面白くなり、実際、仕事に直接関係あることなので、どんどんのってくる感じでしたね。
実務を生かしてを勉強する工夫とは?
(安部)
これから勉強される方にむけて、どのように勉強をされたのかアドバイスをお願いします。
(奈良岡)
僕は要領が良い方ではないので、段々やっていく中でやり方をみつけていきました。
まずはCPP・B級資格の試験対策セミナーのテキストを覚えるくらい読み込むと、そこからいろんな興味が湧いてきます。
いろんな興味が湧いたところで、マネジメントガイトと知識ガイドの1、2を参考書のように使って、基礎知識がついていく。
そうすると、マネジメントガイトなどの内容がわかってくるというような形で進めていきました。
平日は実務があるのでなかなかスタディーガイドを開けない。
それに、やはり実務と共通する部分では興味が湧いてきます。
勉強する中でいろいろと興味が広がって、サイクルが上手く回りだすと面白くなり、実際、仕事に直接関係あることなので、どんどんのってくる感じでしたね。
(安部)
実務と知識が繫がったときに面白さを感じたのですね。
(奈良岡)
そうですね。実務につながると楽しいですよね。
(安部)
それは最高ですよね、実務に楽しさを見いだしながら受験勉強になるというのは、ひとつの理想的な勉強法かなと思います。
早い段階で「頑張るぞ!」という方にとっては早い成長に繫がると思います。
実務1,2年目の人の成長が早くなるとは?
(安部)
最後にこれから受験をしようと思っている方へ、メッセージをお願いします。
(奈良岡)
やはり受けたほうが良いのは、経験が1年目・2年目の方だと思います。
CPP資格制度としては、3年目以上のレベルを想定されていますが、早い段階で「頑張るぞ!」という方にとっては、(結構頑張らなきゃいけないですが)早い成長に繫がると思います。
経験してないことも多いですから、それを先に知ることができますしね。
実務をやっているので週末も平日も休みたいとは思いますが、試験勉強とはいえ、やると仕事のアイディアも浮かんでくる点が、とてもいいと思います。
ひ合格にむけて頑張ってください。
(安部)
今日はありがとうございました。