エアウォーター インタビュー
こういう資格があると聞いた時に、とれるものなら、取りたいなと思いました。それは、単に資格を集めるためではなくて、自分が身に付けたスキルを表す証として欲しいなと考えたからです。
CPPホルダーのエアウォーター 岡豊さん(購買部 購買グループ 係長)にお話を伺いました。(以下敬称略、お役職はインタビュー当時)
スキルの証とは?
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現在の岡さんのお役割・お立場をお聞かせください。
岡
エア・ウォーター(株)の調達部に属しています。
エア・ウォーターグループ全体のコスト削減を推進する部門で、物品やサービスなどの購買品に加え、業務改善も含めた全てのコストリダクションと間接材の最適購買と受発注システム構築等の業務支援、担当するグループ会社のコスト削減の指導、支援によりコスト削減を進めています。
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事業部ではなくて全社の購買をされているのですか?
岡
はい。エア・ウォーターグループ全社になります。
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間接材とは、具体的にどのようなものですか?
岡
軽油・ガソリン等の燃料をはじめ、航空料金・新幹線料金等の旅費関係、通信費関係、業務車両、レンタカー、情報機器、事務機器、事務用消耗品、梱包副資材などです。
これらの集中・集約購買を戦略としてコスト削減を具現化しています。
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岡さんは、調達部にこられて何年ですか?
岡
今の業務をする形で調達部に来てから、1年4ヶ月になります。
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1年4ヶ月でCPP・A級資格までチャレンジするのは、すごいですね。
岡
はい。ハードルの高さは感じましたが、B級で取得した考え方や実務がどの程度身についてるか、実践で生かせるのかを確認する手段と考えました。
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岡さんご自身が取組もうという決め手になったことは何でしょうか?
岡
調達部のメンバー育成方針にCPP取得がありますが、より実践で役立てるためにB級で得た知識を深耕する必要があると私自身が考えたためです。
資格を取得するのではなく、より実践の場で生かすためというのが取り組みの動機です。
CPPの考え方にそって、「今この条件であれば、この答がベストあるいはベターだろう」と、客観的に捉えることができるようになりました。
全体を俯瞰する知識が役立つ理由とは?
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1年少し前に、異動で調達部門に来られて、どのような課題を感じられていましたか?
岡
まずは調達部の目指すべき方向性・役割の理解を徹底的にすすめました。
ビジネスモデルを「より良い形に変化(再構築)させるには自分で考えなければならない」と思い、担当として引き継いだ内容から疑問に思う部分を少しづつ紐解いていくことで理解を深めていきました。
課題は、担当したアイテムの考え方を活かして、調達部が扱っている全てのアイテムについて、さらに良い変化をどのように継続させていくのか?ではないかと考えています。
調達部としての戦略や企画を長期的視点で考え続けること、これが大きな課題なのだと感じています。
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以前は、何年前にどのくらい経験をされてらっしゃったのですか?
岡
7年ほど前までの数年は、物流サービスの購買を実行管理する部署にいました。
今から思えば、比較購買をしてみたり、原価低減のために必要なコスト分析方法を教えてもらいながら実行計画を立てる一助を担っていました。
体系立てて認識していなかったのですが、今振り返ると、スタディーガイドに書かれている内容に基づき活動していたと思います。
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体系の中のどこに位置づけられているかは、CPPを勉強されて認識されたのですか?
岡
そうですね。CPPで認識することができました。
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実際1年強の中でCPP資格に、取組んでみていかがですか?
岡
まず、このような資格があることを知り取り組めたことが嬉しいですね。
実際の業務における調達は、会社個別の事情やサプライヤーさんの事情もあり絶対的な正解がない非常に難しい領域だと思うのですが、スタディーガイドが幹の役割を果たしてくれていると思います。
CPPの考え方に沿って「今この条件であれば、この答がベストあるいはベターだろう」と、客観的に捉えることができるようになりました。
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具体的にどんなことで役だったでしょうか?困ったときにスタディーガイドをみて確信を持って判断をしたとか。
岡
考え方として常に振り返ったのは「ものを買う」ではなく「機能を買う」でした。
購入希望者となにが機能として必要なのかの観点で話を進めることが出来ました。
マトリックス分析をはじめとする様々な分析手法もあり、その分析データを事前に準備し交渉に臨むことで、対等の立場で交渉が論理だって進められました。
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全体を俯瞰しているから臨機応変にできるのですか?
岡
「そうなんです!」と格好よく即答したいのですけど、現実は「NO」ですね。
先ほどのマトリックス分析の活用でも同じなのですが、まだまだ知識不足な部分と、知識として頭では知っているけれど明確に整理しきれていないために活かしきれているとは言えないと感じてているからです。
その証拠に、昨日よりも今日、今日よりも明日、とより良くなっていこう、早く実践できるようになりたいと意識しながら、取引先と話をする前の確認など、テキストを日々の業務に使わせていただいています。
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体系立てた知識から俯瞰して理解して実務に活用するというイメージでしょうか?
岡
そうですね。体系立てた知識を俯瞰し、取引先とあるべき関係作りに実践活用するために、日々テキストを繰り返し見返すことで理解を深め身に着けようとしているイメージが今の現実だと思います。
CPPの内容は、アイテムを置きかえるだけで、状況分析する時にそのまま使えてしまったりだとか、いろんな使い方ができると思います。
第3者認定のメリットとは?
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調達部として、CPP資格取得を部員育成方針にされた背景はどんなことだったのでしょうか?
岡
マネジメントガイドにも記述がありますが、「業績に貢献するために、調達に係わるあらゆるプロセスに対して公平・公正・透明な姿勢で望む」必要性が理解されていて、単なる「購買担当者」ではなく企画部門としての調達部としての考え方を部内で共有化するためです。
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会社の方針としても取得を奨励するなどされているのですか?
岡
そうです。会社の資格取得制度にも明確に位置づけられています。
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CPP資格を取得されている方は、何人ぐらいいらっしゃるのですか?
岡
今の調達部内だけでも12名中9名がCPPを取得しています。他部署に異動したメンバーも数名取得しています。
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メンバーのみなさんの能力開発という観点ではいかがでしょうか?
岡
はい。メンバーそれぞれが、調達のあるべき姿に向けて企画・戦略に向けて役立てるべく、日々の担当業務を俯瞰して捉えるためにCPP取得を活用することで各自の能力開発に繋がっていくと思います。
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スタディーガイドは4冊ありますが、バイブルのように使っているのはどんなところですか?
岡
マネジメントガイドは調達部の役割を見失わないように実務において悩んだときに常に振り返ってみています。
知識ガイド1・2は、実際の事象に対して「こんなときには確かあの知識が・・・だけど、どこかに書いてあったか・・」と探して使います。実務に感じる課題の解決に役立つ知識を探す使い方なので、目次の検索のところが、もう少し探しやすくならないかなと思いました。
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CPPのスタディーガイドは、直接材の購買が意識されている内容ですが、違和感は無かったですか?
岡
違和感は無かったです。
完成品やサービスなどの間接材系のアイテムは、「目的にあった最適な機能を買う」ということになります。
それらを買うとき、その価格が本当に適切かどうかは、物を作るコストやその仕組みをわかってなければ判断ができないと思っています。
提示された見積を見て、総額査定ではなく、その構成の分解に勤めることで購買査定を実践しています。
CPPの内容は、アイテムを置きかえるだけで状況分析にそのまま使えてしまったり、いろんなシーンで使えると思います。
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間接材であろうが、直接材であろうが役に立つということでしょうか?
岡
そうです。
物やサービスを買う時、会計上の扱いで、直接材または間接材というくくりにするのであって、「調達する」という行為には何の違いもないと思っています。
調達部では共通材を間接材、部門特有の商材を直接材と定義しています。
それぞれの商材にあった調達方法を選択、または組み合わせて活用しています。
最適調達によって調達の使命を果たすことで、良い製品を安く提供できることになるでしょうし、販売に関わる諸活動にかかってくる間接費用も必要最小限のコストで済むはずなので、すべてに活用できると思っています。
普段の自分がやっている業務で自分が勉強した知識の、どこのところをやっているのだろう、困ったときは、「CPPにはどんな事例があったかな」と、ちょっと思い出します。
自分で自分をOJTする方法とは?
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調達部としてCPP資格を取得をすすめていこうとされた際に、みなさん、実際に取組みにどんなことが障壁になりましたか?
岡
障壁と感じる物は特になかったのですが、唯一いえば学習するための時間の捻出がありました。
それぞれのメンバーが責任を持って日々業務をやっていますし、各人各様に家庭の事情もありますので、なかなか時間を取り難い世代でもあると思います。その中で、時間をどうやって確保するのかというのは、課題だったと思います。
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岡さんは、時間をどのように捻出されたのでしょうか?
岡
時間を絞り出したくてもなかなか絞り出せないので、いかに日々の業務の中でCPPを意識するかを心がけています。
「業務」と「学んだこと」を対比させながら、業務を通して復習することで、「理解できている・できていない」「覚えている・いない」といったところを確認しています。
そうしたプロセスの中で思い出せなかったことは、自宅に帰ってから覚えなおすことを繰り返すようにしています。
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ご自身でOJTを体現されたということですね。
調達の役割、期待、戦略などは、ご自身で勉強して、実際の業務の現場では、スタディーガイドの習得度合いを検証された。
岡
そうですね。調達部の使命を果たすために必要な知識なのに、実際の業務で覚えていないところを見つけたら、スタディーガイドで再確認して覚え直すことの繰り返しですね。
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実際にCPP・A級資格を取得しようとすると相当な時間が必要であると思いますが。
岡
電車の中などでも勉強したいですが、朝のラッシュでなかなか難しいですよね。
夜も付き合いがある場合には、あまり時間はとれません。自宅に帰ってから寝るまでとか、休日の時間を活用するしかありませんが、纏まった時間は取れないものです。
そこで、業務中に覚えていないところを確認できれば、僅かな時間は覚えることに集中できると考えた訳です。小さな時間の積み重ねしかありませんから。
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時間を捻出したというのは、皆さん参考になると思います。
岡
今から思えば、普段の自分がやっている業務で、「自分が勉強した知識の、どこのプロセスをやっているのだろう?」とか、困ったときは「CPPにはどんな事例があったかな」と、ちょっと思い出す。
これをするだけで、忘れてしまっていることや、しっかり覚えていることを認識できて、重点的に力を入れるべき領域が見えたんですね。
せっかく覚えたことも使う機会が無いと忘れてしまうので、「また忘れてしまったぞ」と思うことも沢山あります。
そこをコツコツと日々繰り返しで覚えなおすしかないのだと思います。振り返ると、小さな時間を集めたら纏まった時間になるという結果なのですけど、この当たり前な積重ねは、結果ばかりを意識していると、なかなか続かないですのも現実だと思います。
調達という言葉は、非常に範囲が広いということを、今回CPPを勉強するにあたって、あらためて知りました。
勉強した証とは?
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これから受験されたり、組織に導入していきたいという方がたくさんいらっしゃると思うのですが、メッセージをいただけますでしょうか?
岡
今回CPPを勉強するにあたって、調達という言葉は、非常に範囲が広いということが改めて判りました。
逆に考えると、範囲は広いのですが、一度、身に付けてしまえば、いろいろな形で必ず何かに活かせる知識やスキルを身につけられると思っています。
物を買う、販売のために仕入れる、という「買うという行為」をする方であれば、一度は勉強していただきたいと思います。
CPP資格取得に、積極的に挑戦していただく価値は充分にあると思います。試験対策として開講されているセミナーでは、勉強した内容を新鮮な感覚で確認することができますし、「調達」という世界感が広くなることを体感できると思います。
そしてゴールには、勉強した証として試験に合格していただきたいと思います。
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ありがとうございました。