関西電力 白仁田氏・尾崎氏 インタビュー
関西電力の白仁田康博さん(調達本部 調達改革推進グループ マネジャー)、尾崎雄一さん(調達本部 調達改革推進グループ)にお話を伺いました。(以下敬称略、お役職はインタビュー当時)
段階的なステップアップとは?
勝田
本日は、関西電力の白仁田さんと、尾崎さんにインタビューさせていただきます。
よろしくお願いします。
まずお2人の、現在のお仕事の内容をお聞かせください。
白仁田
私は調達改革推進グループに所属していまして、業務改革と基盤整備をしています。
現在、業務改革に特に力を入れていて、生産性をいかに上げ、効率化するかで、外部化ということも考えているところです。
そのための強化領域として、戦略的業務によりシフトさせるかを、スピードアップしていけるように取り組んでいます。
尾崎
私は白仁田の部下として業務改革、および基盤整備を担当しています。
基盤整備として、CPP等の自己啓発を活性化する取組みに注力しています。
勝田
業務改革をされている中でも、課題となっている部分はどのようなことでしょうか。
白仁田
標準化されているようで、やはり標準化ができていない部分がありまして、外部化しようと思うと、マニュアルなどもきっちり整備していかないと、うまく受け手側にやっていただけませんし、その都度指示を出したのでは、仕事というのはうまく流れません。
ですから、その辺りのマニュアル作りをこれからどうやっていこうかと考えています。
CPPのテキストをいろいろ勉強しているのですけれど、いきなり専門スキルがぐっと上がるわけではありませんので、地道な活動もしながら、個人で学んでもらい、あるいは会社側もスキルアップの研修を用意し、受講してもらい、実務で展開し、身につけてもらうという段階的なステップを踏むしかないと思っています。
勝田
基盤強化の中でなど、教育的なものも入ってくるのですね。
白仁田
効率化を図って、戦略業務により注力してもらうのですが、いきなりはできないので、基盤と業務改革とが一体になってやっています。
交渉に有利なCPP資格とは?
勝田
わかりました。
お2人がCPPに出会ったきっかけは、どんなものだったのでしょうか。
白仁田
私の場合は、前職で研修を扱っていて、能率協会さんとおつき合いさせていただいているので、いろいろパンフレットなどを送っていただく機会があります。
その中のCPPのパンフレットを見ていいなあと思い、勉強しようかと思っていたところ、同僚が何名か、1月に先行して資格を取ったのです。
それで、負けていられないということで、4月ぐらいから一気にグッと気持ちが盛り上がって取得したという感じですね。
勝田
尾崎さんはいかがですか。
尾崎
私はその合格した者と前のチームが一緒で、先輩後輩の関係でしたので、彼が1月に受験してよかったと聞いて、じゃあ私もという感じで取りました。
費用の面で少し迷っていたのですけれど、先輩が受けてみて、実際に業務に活きるということでしたので、受験を決意しました。
勝田
CPPを受験しようと思った時期は、CPP友の会の活動がもう始まっていた時期ですか。
尾崎
いえ、そのタイミングで立ち上げました。先行して合格した2人が受験したあとに、これはもっと部門内で拡大するべき、ということになり、白仁田以下でCPP友の会を立ち上げました。
白仁田
3月ぐらいから、そういう動きがあって、4月の8日にキックオフをしました。
その日に懇親会もしたのですけれど、実際に友の会のメンバーの中で、受験をしたのは半分ぐらいで、残りの半分は参加しましたが、そこまで積極的ではなかったですね。
特に積極的にやっていたのは、ものを買う仕事をしているメンバーです。
そちらは設備の関係もあって、メーカーさんとのお付き合いのときも、自分が知っていると交渉も有利に働くなどといったこともあるので、割と真剣にやってくれました。
CPPのテキストは、よく体系立てて整理されていますから、勉強すると通じるものがたくさんあると思うのですけれど、工事契約のグループのほうは、興味があってもあまり自分たちと密接な絡みがないために、どうしてもそれほど熱心にはできないのですね。
すぐに効果が出るとは言えないかもしれませんが、考え方としてはものを買うのも、工事をするのも、リードタイムがあったり、いろいろな条件を加味してやったりするというところは変わりません。
多くのサプライヤーさんがいて、弊社に対する依存度があり、土木建築工事ですと、広く一般的に公共工事とかやられていますし、流通のほうは電力固有なのですが、大手さんは他電力さんも回られていますけれど、電力会社のほとんどがお付き合いのある会社ですし、形態もいろいろ違います。
CPPのテキストを読んでもらえると、そういうものも理解した上で、どう接していくかの参考になると思います。
来年の1月の受験に向けては、工事系も手をあげてくれていますので、さらなる底上げになるかと思います。
尾崎
設備産業の購買などは、章立てて作っていただいているのですけれど、その中に土木建築、請負の購買などの章があれば、よりみなさん興味を持たれるのかと思います。
CPP友の会の由来とは?
勝田
土木建築ですね。
白仁田
土木建築の工数の査定と、改善変更する提案ですね。
ものを買うのとは少し別立てですが、その工数等をどうやって減らす提案をこちらができるかは難しいですし、かなり技術的な知見も必要です。
勝田
お2人は友の会を立ち上げて、事務局をしながらご自分たちも勉強をしたのですか。
白仁田
ええ、やはり事務局がやらないと、メンバーを引っ張っていけませんからね。
勝田
CPP友の会という命名は誰がなさったのですか。
尾崎
浜田が言い出したのですが、親しみやすいネーミングだということでそのまま採用となりました。
自己啓発なので、あまり堅苦しくなくて、いいのではないかと思っています。
勝田
一発で覚えられる絶妙なネーミングですね。
CPPを個人として勉強していく中で、工夫されたポイントなどがありましたらお伺いできますか。
白仁田
全般的に2年目、3年目の方を対象にとういう印象でしたが、やはりしっかり読んでいくと、いやいや、もっとベテランでも学ぶべきところが多いと思いました。
尾崎
私はまだ経験が薄く、なかなか覚えるのに苦労しましたが、社内だったらどうしているか?を思い浮かべながら読み進めると、頭にもすっと入ってきました。
勝田
優先順位をつけて、そこから手をつけていかれたのですね。
自己負担だからこそ頑張れることとは?
勝田
友の会の資料で、勉強するカテゴリの中でも、優先順位をつけられていましたね。
そういうところも見ながら、ポイントを絞り込んで、ご自身の業務と結びつけて勉強なさったと思いますが、何か当時の自分の業務と親和性が高いとか、課題に思っていることに対して効果があったとか、そういった章やカテゴリはありましたか。
白仁田
特に戦略的に発注をやるという意味では役に立つカテゴリがありました。
弊社の中ではサプライヤーマネージメントといい、一般的にはカテゴリマネージメントというのだと思いますが、そちらがまだまだ全然できていなくて、過去からの流れを踏襲している状態です。
新たな発注方策や、新規サプライヤーさんを見つけ切れていなかったのですけれど、CPPを勉強させていただいて、幅広く情報収集し、技術を分析し、発注施策を打つというところが、非常に実務には役立っていると思います。
尾崎
われわれは改革グループということで、経営層に対して働きかけることが多いので、マネジメントガイドの会社における調達活動の重要性、などが、かなり参考になりました。
ほかにも、業務改革を担当していますので、BPRの章はもちろん読みました。
綺麗にまとまっていてわかりやすかったですが、より細かい所まで充実したら、さらにありがたいです。
勝田
3月ぐらいから学習を始められて、7月期に受験されたので、勉強期間が4カ月ぐらいですよね。
白仁田
そうですね。
途中、6月、7月にも勉強会をやりました。
勝田
その勉強会の中身は、すでに資格を取られている方などが先生になられたのですか。
白仁田
最初は合格者が先生役になり、このような問題が出たという感じで、いろいろなもの思い出しながら勉強しました。
7月には、上旬に受けた人から、このような問題があったというのをヒアリングし、内容を伝えるような感じでした。
資格をとることが目的ではなく、勉強をして、理解をして、実務に生かすのが目的ですけれど、目に見えるものが何もないと、勉強の励みにもならないので、試験を受けるように活動を進めてきました。
自己負担ですから、やはりお金を出した以上は、しっかり勉強しないと元が取れませんのでね、そういう意識で勉強していますね。
会社から合格したら補助される制度があるのですけれど、当時は電気料金を値上げさせていただいた関係で、そういった制度を中断していたのです。
われわれの受験後に補助制度は復活しましたが、自分たちの受験の時は完全に持ち出しで、自己負担で勉強していました。
遡って適用ということで、補助をもらえるようにはなりましたけれど、団体でテキストを5冊以上まとめて買っても、30,000円を超えますよね。
そういう時期だからこそ、真剣にみんな勉強したと思うのです。
CPP受験者の第2段階とは?
勝田
そういう危機感とか、そういう課題感が高まっていたのですね。
白仁田
特にメンバーの中でも、尾崎などの若手の世代が、かなり一生懸命勉強してくれました。
他部門から異動で来てもらっているメンバーも、もともと調達の知識が乏しいですから、これを勉強しようと一生懸命やってくれたのと、もう1つは長らく調達の仕事から離れていた人がまた戻って来て、もう1度勉強をし直そうと、資格を取ってくれているのが大きいですね。
調達に長くいる人の中から取った人が意外に少なく、十分に自分の中では知っているつもりでも、やはり読み直してもらうと知らないことがたくさんあるので、すごく刺激を受けて、ますますやらないといけないという気になってきます。
第2段階になる、来年の1月の受験のメンバーが、そういった人たちになってきているように思いますね。
勝田
お2人は7月期に合格されたと思うのですけれど、合格されたあとの周りの変化や、ご自身の変化などがございましたらお願いします。
白仁田
いわゆる自信がついたようなところもあると思いますし、事務局をやっていますので、他のメンバーに言うときにも、ちゃんと資格を取っているので、取ってくださいと言えるのだと思います。
自分たちが取っていなかったら、言いづらいですよね。
勝田
一緒に頑張ろうという事務局としての説得力が増したのですね。
尾崎さんはいかがですか。
尾崎
共通言語ができたと感じます。他の業務中に”CPPのスペンドアナリシスの4象限のようなイメージで”などと言うように資格取得者間での意思疎通がより具体的なイメージをもって出来るようになりました。
勝田
そういう会話があり、勉強して合格されたという経験が、知識の寄りどころになっているのですね。
尾崎
はい。
白仁田
CPPではこのように書いていますと言っていますので、資格を持っているメンバーは、結構、そういう報告会の場合は便利ですね。
勝田
そういう意志の疎通ができるのですね。
尾崎
はい、それはかなり大きなところかと思います。
CPP資格取得で得られる自信とは?
勝田
それはCPPの個人に及ぼす影響だけではなく、組織に対する効果もあるということですね。
尾崎
もう1点は、社外の方、例えば、コンサルの方、の中でもCPPを取っている方もいらっしゃるので、話が弾んだことがあります。また、CPP A級は対外的にも”調達のプロフェッショナル”ということなので、自信につながりましたね。
勝田
お2人ともCPPを取得されて、引き続き社内の友の会の活動に事務局として取り組まれていいますが、今回、私どものキャンペーンに応募いただいて、賞を取られました。
この賞に応募しようと思ったきっかけをおうかがいできますか。
尾崎
きっかけは、能率協会さまからメルマガが来て、入賞すればCPPのテキストを15セットももらえるというので、それならぜひ応募したいと思いました。また、われわれは、組織としてもしっかりと切磋琢磨しながら取り組んだので、そういうところを対外的にアピールしたかったというのもあります。
勝田
みんなで写真を撮ろうというのは、誰かの声かけだったのですか。
尾崎
そうですね。
私ともう1人でCPP B級合格者たちに、”こういうキャンペーンがあるので、この日に集まれる方は集まってください”と声をかけました。
勝田
今回、グリーン大賞と喜び大賞、それぞれ応募いただきましたが、当初から2つ応募しようというお話になったのですか。
尾崎
そうですね。
グリーン大賞は”安全”とも関係が深く、うまく当社の特徴をアピールできると感じました。
勝田
グリーンは安全の意味ですね。
尾崎
はい。
キャンペーン入賞のメリットとは?
勝田
あれは、何名くらいで撮ったのですか。
尾崎
B級の合格者は部内に20数名いたのですけれど、出張などで都合がつかない人もいたので、10名後半くらいで撮りました。
ホームページなどにも掲載されているので、あのときいなかったみなさんが、これだけ広がるのだったら、一緒に撮りたかったと思っているみたいです。
勝田
受賞の連絡を私どものほうからさせていただいたのですけれど、そのときのオフィスの様子はどのような感じでしたか。
白仁田
われわれは、直接連絡をいただいたので、かなりうれしかったですね。
早くみんなに知らせたいということで話をしました。
勝田
社内でそういうアナウンスをされたのですか。
白仁田
友の会のメンバーにアナウンスしました。
それで、ほかの方もまたこれから頑張って一緒にやりましょうというアナウンスですね。
ほかにも、月に2回チーフマネジャー以上でやる朝会の場でも、ちゃんと報告をさせていただきました。
勝田
その喜びを共有されたのですね。
これから勉強される方や、今勉強されている方々にとっても非常に励みになりますね。
尾崎
そうですね。
7月にCPPを受けて、8月に合格の報告したのですけれど、そのあと少し期間が空いていて、11月にそういうキャンペーンがあったので、また盛り上がるきっかけになりました。
かなりいいタイミングだったと思います。
こうやって、実際にホームページに載りましたということになったら、じゃあ、私も受けようかみたいなかたちになると思うので、かなりいい起爆剤になりました。
白仁田
社内でも広報のほうにもちょっと声をかけましたので、社内でのポータルサイトなどに、もし載るようであれば、また刺激になると思いますし、調達が頑張っているというのも、他部門からも評価していただけると思います。
CPPを通して伝えたい思いとは?
勝田
私たちの今回のキャンペーンは、まさにそこが目的と狙いでした。
御社内では社内のそういう起爆剤になりますし、われわれとしては製造業のみなさんに、こういうすばらしい組織の取り組みがあるというのを広められるので、本当にいいかたちで応募いただいたと感謝しております。
では、最後の質問になります。
今後、CPPを社内に展開していこう方々や、受験しようとしている方々への応援メッセージをいただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
白仁田
やはり自分がまず学んで、それをお伝えしていくという情熱がないと人を動かせないと思います。
他の人の心を動かすのは、自分の心です。
われわれの場合も、そういう情熱を持ったメンバーが先にCPPを受験していることが、われわれの心にも響いて、以心伝心で広がっています。
ですから、今後も引き続き、そういうことをきっちり伝えて、一緒にやりましょうというスタンスでいきたいと思います。
尾崎
私はCPPの勉強を通して調達の”いろは”からそれぞれの業務、そして課題まで色々なことを学ぶことが出来ました。
他にも市販の書籍がありますが、ここまで体系立てて整理されているテキストはないと思います、少なくとも私はそう感じました。
特に若手の方は普段の業務を見つめ直すときにぜひ活用できると思います。
ぜひとりあえず手に取ってみて、読まれたなら素晴らしさがわかると思いますので、どんどん積極的にチャレンジしていただけたらと思っております。
勝田
ありがとうございます。
以上で、関西電力様のインタビューを終わります。
ありがとうございました。
白仁田、尾崎
ありがとうございました。