CPPホルダー(伊原様)インタビュー

CPPホルダーの伊原隆さんを訪問しました。日本能率協会の安部武一郎がインタビューします。(以下敬称略)

CPPが受験しやすかった理由とは?

伊原隆さん

伊原隆さん

安部:
CPPを受験いただいた理由をはじめに教えていただけますか。

伊原:
日本能率協会と言う公的機関の主催であり、また、試行試験から受験のご案内をいただいたからです。

安部:
このCPP資格を知っていただいた最初のきっかけを覚えていらっしゃいますか?

伊原:
CPPの前に、会社の上司から外国の購買・調達資格(CPM)を勧められて受験しました。
それに合格できなかった同じタイミングで、CPPという資格試験が日本にもできたことを知り、受験しました。

安部:
外国の資格に挑戦されて、その後CPPを知っていただいて受験いただいた。

その時に決め手になったのは、日本語で受けられたということでしょうか?

伊原:
そうですね、それよりも出題範囲が製造業に特化している点の方が大きかったと思います。

それから、B級とA級という段階をふむので、急に難しい内容に挑むわけではなかったということがあったと思います。

例えると、きちんと高校受験してから大学受験、という印象を受けました。
おかげさまでその後、その外国の資格(CPSM)にも合格できました。

CPP受験で得られる社内の評価とは?

安部:
合格されてからの変化についてお聞かせください。

伊原:
合格後、まず、初めてお会いする取引先の方々との名刺交換の際に会話のとっかかりができたように感じます。
「伊原さん、このCPP・A級と言うのは何かの資格なのでしょうか?」と聞かれることが多いです。

また、購買機能の中で「一目置かれる存在」になれたと感じています。他部門とのクロスファンクション・チームの中でもしかりです。

安部:
CPP資格に取り組まれる以前は、購買・調達業務に携わっている中で、どのような事にお悩みになっていたのでしょうか?

伊原:
私は、社内では割と珍しいキャリアを積んでいます。

国内工場、海外工場、本社機能と全ての購買機能を経験し、たくさんの現場を知りました。

ただ、それまでいろいろと蓄積してきた知識は、もしかすると体系立ったものではないのではないか?と。

何か弱点もあるかもしれないから、体系立てて整理整頓されているCPPという枠組みの中で自分の長所・短所を知ることができるのではないかと思ったのです。

安部:
受験される前に、既に色々な購買業務を経験されていたのですね。

伊原:
そうです。

本社、事業所、技術拠点、海外拠点など、様々な体験を経て今に至っています。

安部:
それは、我々がこの資格を設立したひとつの理由にも挙げています。

まずは、購買・調達担当者のスキルを明確化して、正しく評価されるようにしたい。

また、もちろん購買・調達担当者のスキル自体を上げたいということもありました。

当時、購買・調達担当者に求められるスキルの基準が世の中になかったため、伊原さんがおっしゃったことは、きっと共感される方も多いのではないかと思います。

CPP資格に取り組もうとする決め手になったこと、その先の目的はなんでしたか?

ご自身のスキルアップなど様々な背景がおありになったと思いますが、いかがだったのでしょうか?

伊原:
自分のスキルの整理整頓、つまり自分の弱み、強みを把握しておきたい。

社内では、私が受験したことでCPP資格も認知され、会社認定の資格になりました。

安部:
その認定資格を取得するとどうなるのでしょうか?

伊原:
資格取得者として社内で公示されます。

また、頑張ったご褒美に難易度に応じた金一封が出ます。

購買・調達部門に対する社内的認識の変化とは?

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安部:
世の中は、購買・調達機能を強化していこうという流れになっていると感じますが、伊原さんはいかがお感じでしょうか?

伊原:
それに対しては異論がありますね。

入社時、「君は見所があるから購買部に配属だ」と言われ、「これから購買部の時代がくるから頑張れ」と、言われました。

以降、ずっと購買の時代が来ると折に触れて聞きますが、なかなか来ないなぁと感じています。

安部:
そうなのですか!?

伊原:
はい。もしかすると、原材料費が高い企業さんとは違うのかもしれません。

当社は、材料を購買した後に、製造工程で多くの価値を付加するメーカーだという理由もあると思います。

安部:
少し脱線しますが、その意味では、生産技術部門の社内的な地位は高いですか?

伊原:
生産技術の定義によると思います。

生産技術も製造も、やはりとても大変だと思います。

だれしも自部門の地位が高いとか低いとか思いたいところですが、そんなことを言ってもなんにも始まらないと思います。

要は、それぞれの持ち場でコスト削減を最大化するために全力を尽くすことです。

CPP試験合格に必要な、気合いとやる気、そして経験とは?

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安部:
CPPは、学習される業務範囲が広い、つまり試験範囲が広いと思うのですが、どのように学習されましたか?

伊原:
いや、実は勉強はしなかったんです(笑)

なんと言いますか...、私の場合、気合いの問題だと思うんです。試験会場で本気モードが出るかどうか、というほうが大事でした。

安部:
では、勉強量ではなくて伊原さんのやる気で合否が決まったのでしょうか?(笑)

伊原:
それと現場での修羅場の経験が大事だと思います。
いろいろな工場で購買実務を行い、本社で基本契約書や社内システムも担当しました。

あと、海外工場では、動物の苦情対応だとか、得意先へのちょっとした営業対応だとか、とにかくいろいろなことをやりました。

修羅場を経験すればその体験が頭にこびりつきます。どうすれば取引先が自発的に価格を下げたくなるのか、大量の滞留在庫をどうすればよいか、などなど。

その場面場面のボスにネジを巻かれ、眠れない夜を送り、胃がキリキリ痛んだ日々も、今となっては良き思い出です。

安部:
CPP・A級受験の際はいかがだったのですか?

伊原:
自慢話っぽくなりますが、CPPのB級もA級も全然勉強していません。

とは言え、勉強していないのだから、当然、最初のトライは不合格で、自分はここが弱いんだな、と感じた領域は、多少の振返りをすることとなりました。

あと、良い意味でCPPの購買・調達の考え方に慣れることも必要だと思います。

安部:
そうだったんですね。

伊原さんの場合は、CPPで知識を得てスキルアップするというよりは、ご自身の知識の棚卸しや確認をされて、足りない知識を強化するという活用のしかただったのですね。

伊原:
そうです。満点を取る必要はまったくないので、広く浅くまんべんなく。

安部:
なるほど。

伊原:
例えば、「○○の価格交渉だったら俺にまかせろ!」という突出した人はたくさんいると思うんですよ。

でも、私の場合はなんとなくいろいろなことが分かっていることが強みです。

安部:
そういう人材を育成したいと思ってつくっている資格なので、伊原さんはロールモデルになりますね。

例え浅い知識であっても、知っているのと知らないのでは、仕事の進め方が全然違うと思います。

おそらく、周りから伊原さんにちょっとアドバイスを求めてきたり、頼られたりということはよくあるのではないですか?

伊原:
ロールモデルと言われると気恥ずかしくなりますが、伊原に聞いておけば何かヒントをもらえると期待してくれる先輩・後輩はいますね。

安部:
最近は、そのような人材ってたくさんいらっしゃいますか?

伊原:
いなくなったと思います。
昔気質の頑固オヤジ的な人は少なくなっていると思います。

安部:
そのような方々って、今は本当に意識して育てなければならず、とても重要で危惧することだと思っているのです。

伊原:
どのように言えばいいか分かりませんが、平均点以上のレベルの人はすごく増えてると思います。

会社を離れても、世の中全体がそんな感じになっている。
日本という国が違う国に変わってきたような感じがしています。

例えば、中国から長期出張を終えて帰ってくると、あれ?日本が変わったぞ!と驚いたりします。

安部:
それは、日本全体の雰囲気が重いということでしょうか?

伊原:
それもありますね。

当時は、中国全体が勢いに乗っていました。みんな今日より明日は必ずよくなると思っている。

頑張れば必ず報われると信じ、がむしゃらに働いている人が多かったと思います。

安部:
実際にCPP資格に取り組んでみての感想・意見をお聞かせください。
またCPPを受験されて、良かったと思うことを教えてください。

伊原:
自分の知識を棚卸しして、訳も分からずにただもがいている状態ではないということが分かりほっとしたことです。

ちゃんとお墨付きもらった気がします。

安部:
ありがとうございます。すごく嬉しいお言葉です。

伊原:
例えば、社内で「それは、こうするのが良いと思います。」と、多少の自信を持って言えるようになりました。

安部:
そんな時、調達プロフェッショナルスタディーガイドを使って説明されたりもするのですか?

伊原:
それは、うちの会社ではNGです。
自分達の経験則が正しい、という考えが基本です。

だから、もちろん参考にはしますが、教科書の受け売りは聞いてもらえない社風なのです。

他社の成功事例・ベストプラクティスなども、きちんと内容を体得して自社に適用できる形にしなければなりません。

CPP試験をこれから受験される方へのメッセージをお願いします。

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安部:
CPPをこれから受験される方々へのメッセージをいただけますでしょうか。

伊原:
CPP受験をすることは、ご自身のキャリアの整理整頓、棚卸しになると思います。

また、現場での経験が少ない場合でも、工場や開発・設計の方々と同じ土俵で話ができる場面が増えると思います。「知識は力なり」ですか。

当社でもトライする後輩が増えてきていますので、良い方向だと思っています。

安部:
広い領域を勉強していただけるというメリットがあるかと思います。

従来よりも、購買機能が色々な部署と関わり合って社内・外へ目配せして仕事するように変わってきたような印象はありますか?

伊原:
個人的にはそれはあまりないですね。

いろいろな社内の機能、いろいろな取引先や得意先とずっと仕事をやってきていますから、あまり変わったという印象はないです。

曖昧な言い方になってしまいますが、日本企業の仕事のやり方はこの数十年変化しているのだとは思いますが、自身の仕事やり方にあまり変化は感じていません。

クロスファンクション型でプロジェクトチームを組むことは、昔からやっていますし、アメリカでの上司は女性でしたし...。

昔から色々な人との関わりの中で、今は、ダイバーシティ(人材の多様性)と言うのでしょうか、みんなで知恵と力を出し合って一緒にやってきました。これからも、それは変わらないと思います。

安部:
今日はどうもありがとうございました。

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