富士ゼロックス情報システム インタビュー
ビジネスパートナー様とのWin-Win関係の構築や、品質の向上、集約化など色々と担当させていただいています。
CPPホルダーの富士ゼロックス情報システム 飴谷文彰さん(経営管理統括部 総務部 BP改革推進グループ スタッフ)にお話を伺いました。(以下敬称略、お役職はインタビュー当時)
バイヤーのいない調達組織とは?
富士ゼロックス情報システム 飴谷文彰さん
ーー飴谷さんの現在の会社でのお役割とCPPを受験された当時の役割について
教えていだだけますでしょうか?
(飴谷)
まず、弊社の調達のカテゴリーについて説明します。
弊社の調達は、社内使用品、顧客に納品する機器やパッケージソフト等の仕入れ品、ソフトウェア開発における委託や人材派遣のサービス品の3つのカテゴリーに分類されます。
私はその3つのカテゴリーの一つであるソフトウェア開発の委託や人材派遣のサービス品を担当しております。
弊社ではこのサービス品の調達を「外部委託購買」と呼んでおりますが、この外部委託購買は、弊社の調達額の約80%を占めており、会社として重要な購買として位置付けられています。
弊社は、富士ゼロックス株式会社及びその販社・関連会社および外部の企業様向けのシステムについて、コンサルティングからシステム構築、運用管理までを提供しておりますが、多くのビジネスパートナー様にご支援いただきながらお客様にサービスを提供しております。
私の業務はこの外部委託購買において、会社が策定した中期等の戦略に基づき調達としての個別の戦略を立案し、推進することです。
ビジネスパートナー様とのWin-Win関係の構築や、品質の向上、集約化など色々と担当させていただいています。
ちなみにですが、この外部委託購買においては調達組織内にバイヤーはおらず、バイヤー役割は要求部門が担っています。
ソフトウェア開発の委託先の選定については、仕様の伝達や業務の調整などの面を考慮すると、知識が乏しい調達組織の整員が委託先を選定などのバイヤー役割を実施することが難しく、現在は要求部門がバイヤー役割を行う構図になっています。
私は他社で購買業務を経験したことありませんが、弊社で言う外部委託購買と同種のカテゴリーの購買においても、「バイヤー役割を要求部門が担っている」ということをあまり耳にしませんので、弊社の購買は遅れているのかな・・・と感じています。
何とかしなければいけないと、毎日3人で悩んでいました。
部署立ち上げ時に感じた課題とは何か?
ーー会社全体の戦略に、調達戦略も含まれているのですね。
(飴谷)
そうです。それが、私がCPP資格を取得しようと思ったきっかけの1つです。
私はもともと技術者として入社して、開発をしていましたが、
ある時期本社に異動になり、それから調達で注文書の発行や請求書の管理など契約面の管理を担当していました。
2011年に、会社として中期戦略を練り直すタイミングがありました。
多額の調達をおこなっている外部委託購買について、戦略を持って購買をしていく必要があるという話があがってきたのです。
それをうけてBP(ビジネスパートナー)改革推進部という部署が新設されたのですが、私はその新部署にアサインされ戦略企画を担当するようになりました。
先ほどお話したとおり、外部委託購買においてバイヤー機能は要求部門にあったため調達組織では契約管理のみ担当していた状況でした。
新設されたBP改革推進部には、調達を理解したうえで戦略企画を考えられる人が、自分も含めていない状況でした。
新しい組織にアサインされたものの、私自身は経験がありませんし、他に経験者もいません。これはまずいと思い、勉強する必要性を感じ、社外の勉強会に積極的に参加するようにしました。
新しい組織が出来たときに、私と上司ともう一人メンバーがいたのですが、その3人には、すごく焦りがありました。
何とかしなければいけない・・・と、とにかく勉強しようとみんなで色々な書籍を読み漁り、参考にできるものを毎日探していました。
ーー最初の3人の方達は課題意識や目標を共有していたのですね。
(飴谷)
はい、そうです。
何とかしなければいけないと、毎日3人で悩んでいました。
上司もそうですし、私もそうですけれど、少しでもその状況を打破したいという気持が強かったので、そのために突破口として考えたのがCPP資格制度だったのです。
私は調達が好きなので、戦略企画を練る上でも、もっと調達のことを知るうえでも勉強したいと思い、会社に「CPP調達プロフェッショナルスタディーガイドを3セット買ってほしい」とお願いしたのがスタートです。
ーー上司の人のサポートを得る必要があったと思いますが、その上司の方は、CPPのスタディーガイドをご存じだったのでしょうか?
(飴谷)
私が「CPP調達プロフェッショナルスタディーガイドという教材があります」と伝えました。
調達についての本はあるにはあると思うのですが、種類が多いとは言えないし、網羅的な内容ものは少ない。
そういった状態の中で、上司には、「こういった書籍があって、戦略企画系からプロセスについての話が網羅的に載っているので、ぜひ買うべきだ」と。
「受験するかしないかは別として、この本はメンバーで共有して読んでいくべきですよ」とも言いました。
ーー上司の方もCPP資格に価値を見いだしていただいたということでしょうか?
(飴谷)
そうです。CPP資格という調達の資格があるので勉強して、資格取得したいと伝えました。
上司もCPPにはB級資格とA級資格があると知っていましたので、「せっかく勉強しているのだから、資格も取得できるのだったら目指すべきだ」と応援してくれました。理解があったと思います。
当時は「ものづくり企業、いわゆる直接材についての学習教材である」というイメージを持っていました。
CPPは「ものづくり企業」向き?
ーーCPPを知るきっかけは何だったのでしょうか?
(飴谷)
実は、CPP資格制度については、制度ができた時から知っていました。
日本能率協会のセミナーに参加をした時、もしくはメルマガを読んだ時に知ったのだと思います。
ーー資格を取得しようとされるまでに、少し間があったのですね。
(飴谷)
当時は、内容を拝見して、「ものづくり企業、いわゆる直接材についての学習教材である」というイメージを強く持っていました。
生産管理などの分野の経験がまったくなかったので、興味はあるものの、ちょっと毛色が違うのかなと思っていました。
他の資格だと資格を取得するためのガイドの本など、一般の書店にもいろいろな種類があると思います。
例えばIT関連の資格を取ろうとすると、受験対策本が結構あると思うのですが、調達分野には無かったのです。
また、弊社では経験者がいないので、聞くことができないということがありまして、
そういう部分もあって躊躇していました。
ソフトウェアの調達であろうが、物の調達であろうが、ベースになる考え方はまったく一緒だということに気づいたのです。
買っているものが違ってもベースが同じとは?
ーー経験者が近くにいないですとか、ものづくり教材のイメージについてはどのように解消されたのでしょうか?
(飴谷)
経験者が社内にいないことについては、社外の勉強会に参加させていただく中で、いろいろな方とのコミュニケーションを通して解消できたと思います。
社外の方々と接することは、自分の中で非常に衝撃といいますか、モチベーションをあげるものでした。
「今まで自分は何も知らないでやっていたのだ!」とカルチャーショックを受けましたね 笑。
CPPがものづくり企業向けのイメージであったことについて、自分の考えが間違っていたことにも気付かされました。
他社の購買を担当されている方と交流したり、調達プロフェッショナルスタディーガイドを読んだりする過程で、ソフトウェアの調達であろうが、物の調達であろうが、ベースになる考え方はまったく一緒だということに気づいたのです。
買っている物が違うだけで、同じベースで物事が進んでいるということが、わかったということです。
ものづくりでも、ソフトウェアの調達でも関係ないということがわかったので、CPPを勉強すれば、自社にも適応できると確信しました。
ーー具体的には、どのような気づきだったのでしょう?
(飴谷)
自分の中で、会社の戦略を受けて調達の戦略を練っていく上で、「自分は素人である」という意識があって悩んでいたのですが、あのスタディーガイドの3冊(マネジメントガイド、知識ガイド1・2)がよりどころになったのです。
あの3冊をいつも読みながら「何かマネできるところがないだろうか」と、仕事中もずっと見て考えていました。
その時、サプライヤー戦略だとか、会社の向かうべき方向性だとか、どのように調達プロセスをまわしていくかなどが3冊に記載されていると気づきました。
奥が深くて、理解が難しい部分もありましたが、でも基本的には、買っている物が違うだけで、同じ流れで物事が考えられ、進められているのだということに、毎日読んでいて気づいたのです。
ーー実務にCPPを適用しようとする過程で、ご自身で気づきを得たということですね。
(飴谷)
そうです。社外の勉強会に参加されている方でも、ソフトウェアを扱っている方はそう多くはいません。
しかし、ものづくり系の調達をされている方と話していても、CPPを活用しようというベースで話すと、「考え方は基本的に同じ」だとわかったのです。
ーー戦略系のことをスタディーガイドと照らし合わせながら業務をすすめるなかで、テキストだけの勉強には限界を感じることもあったのではないでしょうか?
また、実務として直面する課題を乗り越えなければならないという思いで学習するときには、学習効果は上がるのではないでしょうか?
(飴谷)
そうですね。効果があがると思います。
これまでスキルアップのために資格を取ろうと、自分の業務と関係の薄い領域を勉強したことがあるのですが、挫折することが多かったですからね 笑。
「今の仕事が忙しいから」「家庭が忙しいから」と、言い訳してあきらめてしまうこともありました。
でも今回のケースでいうと、自分が直面している課題に対して、それを「乗り越えないといけない、他にそれをできる人がいない」。
もちろん上司もいるのですが、でも「自分がやらなければ」という気持が強くありまして、ずばりマッチしていたのです。
学習に対する、意欲も全然違っていたと思います。
「CPPを学習することで壁が乗り越えられるか、どうか」は正直いってわからなかったのですが、「きっとこれをやれば、乗り越えられる」と信じられたのです。
私にとっては本当にバイブルだと思っています。
ここ最近では、自分の中では一番勉強したと思います。
CPP資格取得の対策とは?
ーー資格を取得するための対策は、どのようなことをされましたか?
(飴谷)
スタディーガイド3冊を会社で買ってもらいましたが、上司からは応援のみで、特段「資格を取りなさい」、「勉強しなさい」とは命じられませんでした。
自分の中で、どうせ勉強するなら資格を取った方がいいと思ったので、資格取得を決意しました。
業務の中で、みなさん業績目標を立てると思うのですが、自分に対してのプレッシャーの意味で「資格を取得すること」を目標に入れました。
結果が自分の業績評価に反映されますので、一生懸命頑張ろうと、自分を追い込みました。目標を達成しないと賞与の額が下がってしまいますからね 笑。
あとは、業務にも役立つので、CPP・B級の試験対策セミナーに参加させていただきました。
そして、スタディーガイド3冊を相当に読みましたね。
なかなか、CPPだけに時間を費やすことはできなかったので、資格取得の勉強は、半年ぐらい時間をかけてやりました。
それ以前にも自分の業務を進めるためにも、自分のデスクの側において、迷ったらすぐ見る、わからないことがあったらすぐ見る、という形をとっていましたので、その期間をあわせると、合計で1年ぐらいは勉強していたと思います。
あとは、試験の2ヶ月ぐらい前から毎日、電車の行き帰り、会社の昼休みと、早朝5時に起きて朝食までの時間、夜帰宅してから寝るまで、とにかく勉強していました。
ここ最近では、自分の中では一番勉強したと思います 笑。
読みながら大切だなと思ったところは、何冊分もノートに書きだして、それを何度も何度も自分の中で咀嚼して理解して、納得できるまで書くという作業を続けていました。
電車の中でも膝の上にスタディーガイドを開いて、片手にノートを持って勉強していました。
席に座らないと勉強できないので、毎朝、席を必死に取りましたよ 笑。
家族全員にも「お父さん合格するからね」と宣言しました。
モチベーションの上げ方で工夫したこととは?
(飴谷)
仕事の上でもそうなのですが、まず自分に対してプレッシャーを与えることが多いです。
まず、こうやるよと宣言すると、達成できないとかっこ悪いじゃないですか。
それで家族全員にも「お父さん合格するからね」と宣言しました。
一番上の娘が、当時、中学生で、娘も「勉強したいことがある」という時期でしたので、「お父さんも勉強するから一緒に頑張ろう」といって、朝5時に起きて一緒に勉強しました。
娘が頑張っていて、私が勉強していないと「お父さん何やっているの」と言われるので、そういったことでも自分を追い込んでいきました。
私は調達の仕事が大好きなので、自分の好きなことを、仕事としてさせてもらって、今、ものすごく幸せです。
その為の勉強ができるのは、 自分に対するモチベーションがすごく上がりました。
スタディーガイドとか試験対策セミナーは会社の費用をだしてもらいましたが、CPP資格試験の受験は自分の費用でした。
今までであれば、会社で補助がでない資格を自分でお金をはらって受験しようと思わなかったのではないかと思います。
会社の企業価値向上に貢献するために調達があると思っています。
調達で企業価値を高めるとは?
ーーCPPは業務の中でどのように役に立っていますか?
(飴谷)
CPPを知る前は、調達の知識が無かったので、どんなふうに業務を進めるべきかわかりませんでしたし、自分の考えに自信が持てませんでした。
資格を取得するために勉強して、ある程度の知識は身に付けられたと思います。
考え方も、CPPに沿った形で、「こうアレンジすればいいのかな」とわかるようになってきました。
スタディーガイドに書いてある通りのことをやっているだけですけれど、戦略や企画の提案をするときに、自信を持ってできるようになりましたし、筋道たてて説明できるようになってきたと思います。
個人的に、常日頃思っていることですが、調達とは物を買うだけの仕事ではないと思うのです。
会社の企業価値向上に貢献するために調達があると思っています。
したがって、自分がどう会社に貢献できるのか、どうすれば調達が強くなれるのかを常に考えていく必要がありますが、そのための基礎知識がつけられたと思います。
それから、「ものの考え方」、「調達に関する視野」を広げることができたと思いますね。
今、後輩がCPP・B級資格を取得するための勉強をしているのですが、私の時は先輩に経験者がいなかったので、わからないことを聞くことができませんでした。
でも今は、私が後輩に教えられるようになりましたし、一緒に戦略系の仕事をしているので、戦略系の考え方について、アドバイスもしてあげられるようになったと思います。
部門全体の底力を上げるという面に貢献できていると思っているので、自分にとっても会社にとっても良かったと思います。
今は、まだB級資格なので、次回はA級資格の取得を目指したいと思っています。
やるなら最上位を目指したいですからね。
そういう意味で、CPPは様々な面で非常に有益だと思っています。
新しい組織が立ち上がってから2年経ちましたが、弊社の調達プロセスは、少しずつですが変化してきました。
冒頭にバイヤー役割は要求部門が実施しているとお話しましたが、現在、調達組織がバイヤー役割を実施すると言うプロセスを展開するという話が進んでいます。
そういったところでも、CPP調達プロフェッショナルスタディーガイドの考え方を踏襲させていただいています。
もし本当に調達組織を立ち上げることが出来たら、アサインされたメンバーには、まず、CPPを勉強してもらいたいと思っています。
更に自分自身のスキルアップをするために、ガイドの内容を理解して、私が社内講師になって、伝道師といいますか、バイヤー担当やや後輩にスキルを伝授できるようになりたいと思っています。
私はずっと調達をやり続けたいといっていますし、調達をやり続けている限りCPPのスタディーガイド、スキルスタンダードは常に、片手に持ちながら進めたいなと思っています。
ーー今日はありがとうございました。