ダイハツ工業 インタビュー

QCDに基づいて良い物を、安く、タイムリーに、部品や資材等を調達する役割を担っています。

CPPホルダーのダイハツ工業 山角雄佑さん(生産調達本部 調達室 調達G 機能チーム 副主任)にお話を伺いました。(以下敬称略、お役職はインタビュー当時)

調達グループの役割とは?

  ダイハツ工業 山角雄佑さん

ーー現在、所属されている部門の役割と山角様の業務についてお聞かせいただけますでしょうか。

山角
私の所属している生産調達本部 調達室 調達グループは、QCDに基づいて良い物を、安く、タイムリーに、部品や資材等を調達する役割を担っている部署です。

その中で、私は自動車の機能部品の調達をしています。

主たる業務としては、購入部品の発注方針の立案や、仕入先の選定、原価低減活等を実施しています。

それから、開発が進んでいくにあたって仕入先の生産準備の状況フォローをしながら、最後にプライシングも実施しています。

ーー部品というのは、新規の調達品を扱うことが多いのですか?それともリピート品を扱うことが多いのでしょうか?

山角
リピート品も扱いますが、基本的には、私は新規部品を扱う方が多いです。

新型車を開発するにあたって、例えばランプを変更したりしますが、そういう意匠部品は、新規で部品調達することになります。

ーー業務は、基本的にお一人でやられるのでしょうか、それともチームでやられているのでしょうか?

山角
機能チームの中に、チームリーダーとユニットリーダーがいまして、チーム制になっています。チーム員は14名で、その下のユニットは3~4人の小集団となっており、日々の業務はユニットリーダーをはじめメンバーとチームワークで仕事をしています。

ーー主な購入先は、国内が対象でしょうか?

山角
最適調達のために、国内も海外もありますね。国内調達がメインですが、中国や東南アジアなどから調達する部品も中にはあります。

国内外比率は、部品によって違ってきます。

社内外でのスピードアップが激しい中、より早期の調達人材育成が必要となって来ています。

人材育成の課題とは何か?

ーーCPP資格制度を導入される以前の調達部門としての課題はどのようなものだったのでしょうか?

山角
人材育成は課題の一つです。

プレス部品や、鍛造部品、樹脂部品などの見積もりといった個別技術的スキルはマニュアル等があるのですが、調達スキル全般に渡るもので、体系立てて書かれたものはありませんでした。 

従来は調達業務を経験する中で年数をかけて体得して行ったものですが、社内外でのスピードアップが激しい中、より早期の調達人材育成が必要となって来ています。

ーー入社されてずっとバイヤーをされてらっしゃるのですか?

山角
バイヤーは3年前になりました。それまでは、同じ部署で購入部品の生産準備を6年半ほどやっていました。

私は自分のスキル向上も含めて挑戦したいと思い、挙手させていただきました。

「ブレークスルーの徹底」とは?

ーーCPP資格制度を知るきっかけはどういったことだったのでしょうか?

山角
調達部門の中で人材育成をミッションとしているグループがあります。そのグループの課長が、CPP資格制度の試験対策セミナーを受講して、CPP・A級資格まで取得されました。

「社内での研修が難しいのであれば、CPP資格制度のような機会を活かせればスキルアップになるだろう」ということになりました。

それを受けて、1年程前から調達の各グループから若干名を選出して、半年間、チームを組み、CPP資格試験を受験にチャレンジする仕組みがスタートしました。

その中で、私の直属の上司から「CPP資格試験を受けてみないか」と声がかかったのです。

調達のメンバーは皆、多様な業務を持っていて多忙なので躊躇する人もいましたが、私は自分のスキル向上も含めて挑戦したいと思い、挙手させていただきました。

それで今年の7月にCPP・B級資格を取得して、今回、また、A級資格にチャレンジさせていただいているところです。

ーーCPPがメンバーのなかに浸透するのにハードルになったことはありましたか?

山角
ハードルは、普段の業務をしながらの学習ですね。

ご存じの通り、弊社は車を製造しているのですが、今年は新規車種が多数立ち上がってきています。

そのため輻輳するプロジェクトも多く、業務多忙で、打合せや緊急会議に出席することも多く、それも阻害要因にもなりました。

でもそういうときは、まわりのチーム員とか上長にも助けられて、「代わりにやっておくよ」と言って頂いたおかげで、CPPに専念して勉強会を開催できたのではないかと思っています。

ーー業務の時間の中で、受験者による勉強会が開かれていたのですか?

山角
そうです。人材育成の担当課長からも業務の一環として、週1回ぐらいはみんなで集まって、勉強する場を作った方が、合格率も上がるだろうということで開催していました。

今回は、5月に入ってからCPP資格制度の導入の社内展開をはじめました。
それから7月の受験まで2ヶ月弱だったので、スタディーガイドを日割りで学習しました。

スタディーガイドを全部めくると750ページぐらいあるので、週84ページのペースで勉強しないと7月のテストに間に合わない。本当に大変でしたよ 笑。

チーム員でCPPを一緒に受けた方との勉強会ではリーダーをやらせてもらっていました。
毎週、定例的に日程を決めていましたが、皆さん業務も忙しくて、出張が入ったり業務が入ったりで、最初は出席できない人が多くいました。

勉強会は全員が集まらないと、切磋琢磨して向上していけませんので、そこは苦労しましたが、私の直属の上司及びメンバーの直属の上司の方が「参加してよ」と呼びかけてくださったおかげで、出席率がほぼ100%になりました。

ーー御社の中で新しい取組みになると思うのですが、こちらのハードルになるようなことはありましたか?

山角
我々は社内スローガンでも「ブレークスルーの徹底」を掲げていまして、型破りで従来にない発想や新しいやり方をやっていく方針をとっています。

そういう意味で、上長も積極的でして、「チャレンジするなら是非やったほうがいいよ」と応援してくれて、新しいことに対するハードルは無かったですね。

チームリーダーの下にユニットリーダーがいて、ユニットリーダーに直接、相談をさせていただき、業務負荷分散を考え、いろいろ手伝って頂けました。

一人で業務がまわらないときは、チーム員を応援によこしていただいて、考えてくれたり割り振ってくれたりして、非常にありがたかったですね。

点で覚えていた業務が線となり、その全体像がイメージできるようになって「こういうことだったのか」と思いました。

「わかっているけどやれていない」理由とは?

ーーCPP資格を取得されて、実務でどのように役立っていますか?

山角
わかってはいるけどやれていない業務を改めて認識しました。

例えば、新規仕入先様の開拓や既存仕入先様との協業などです。

具体的には、「競合仕入先様が少ない場合、関係を重視する仕入先様をどのように活用していくか」というチャートがスタディーガイドに掲載されていましたが、「ああ、そういうことなのだな」と思いましたね。

そういうことを踏まえて、発注方針を考えていくことや、原価を下げるためにどう上手くレイアウトして業務を進めるかというようなことは、学習して非常に役に立ちましたね。

新規仕入先様開拓や口座開設は、頻繁に発生する業務では無いので、それまで点と点でしかイメージできていませんでした。しかし、点で覚えていた業務が線となり、その全体像がイメージできるようになって「こういうことだったのか」と思いました。

「財務のここを見ないといけない」とか、多岐に渡って記載されていたので、「わかってはいたけれど、こんなに深くまで追求していなかった」という気づきがありましたね。

チーム員でCPPを一緒に受けた方も、一緒に勉強会をする中で気づいたことをお互いに意見交換していきましょうという風に進めていました。

勉強会ではリーダーをやらせてもらっていましたので、勉強方法についてのアドバイスをもらったり、メンバーでいろんな意見を言い合ったりしました。

私自身もバイヤーとして自部門で調達をしていますが、勉強会のメンバーは、財務専門の方や、機能部品以外の車体部品とかユニット部品などの部門の人が集まっていたので、いろんな意見がでて勉強になりましたよ。

やはり「目からウロコが落ちたな」とか、「こういうことは、わかっていたつもりだったけど、実際ここまで深く考えていなかったよね」という話がでていました。
メンバーそれぞれが、いろいろな意味で勉強になったと思います。

ーーCPPを組織的に導入しようとなった決め手はどのようなことだったのでしょうか?

山角
もともとは、人材育成を担当している課長からCPPの概略を聞いていました。

開発購買からブライシング、ソーシング、物流面、コンプライアンスなど調達マンとして知らないといけない知識というのは、CPPのスタディーガイドにまとまっているという内容です。ですので、スキル向上のために部内に展開することになりました。

普段の業務では、物流やコンプライアンスまでなかなか専門的には関わりませんので、自分に不足しているスキルだと認識していました。

でも、自ら勉強しようと思っても、どこから手をつけていいかわからなかったのです。

CPPを受けてみないかという話をうけて、ちょうど良い教材だと思いました。

前にもお話したとおり、社内学習の機会が減っていたので、何かしら学習する機会を捉えて、自分のスキルを向上していきたいという気持ちがありました。

全体最適を考えることが、会社の利益に繫がりますし、いろいろな部品を経験していないと全体最適のためのアイデアがでてこないと思うのです。

調達業務の魅力とは何か?

ーーこれから山角さんが、バイヤーとしてチャレンジしていきたいことはどんなことでしょう?

山角
現在、機能部品を担当していますが、車体部品やユニット部品(エンジン、トランスミッション)など色々な部品を担当し、経験してみたいと思っています。

全体最適を考えることが、会社の利益に繫がりますし、いろいろな部品を経験していないと全体最適のためのアイデアがでてこないと思うのです。

そういった意味で考えると、今の機能チームの業務範囲だけでなくて、他の領域の仕事もやりつつ、プロジェクトをひっぱっていくことにチャレンジしていきたいですね。

ーー調達業務の魅力はどんなことでしょう?

山角
もともとは、国内企画とか商品企画をやりたいとも思っていました。

調達に配属されてから、最初は右も左もわからないままに、問題が起きたら「調達はどう責任をとるのか?」と社内外から問われ、いろいろ苦労もしてきました 笑。

でも実際にやってみて、一番業務の奥が深いのは調達なのではないかなと思うようになりました。

自動車の6~7割は購入部品で占められていまして、そこをいかに品質良く、安定的に安く買えるかということについては、全社的に期待も大きいと思います。

会社の土台をしっかり支え、1円でも安く部品を調達し貢献できる部署であり、
仕入先様とWIN-WINの関係を構築できる部署ということが魅力だと思っています。

ーーこれから受験をチャレンジされる方に、メッセージをお願いします。

山角
ご自身のスキル向上や、社内での将来展望もお持ちだと思いますが、
それを実現するためには、まず基礎をしっかりすることが大事だと思います。

CPP資格にチャレンジするなら、この機会に自らの業務の経験を集約することが大事です。

スタディーガイドに書かれていることを勉強することで、次のステップに役立て応用していくために、ぜひCPP資格試験にチャレンジしてもらいたいと思いますね。

ーー本日は、どうもありがとうございました。

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