キヤノンマーケティングジャパン 男乕氏 インタビュー
キヤノンマーケティングジャパンの男乕智さん(調達本部 調達部 調達第二課 課長)にお話を伺いました。(以下敬称略、お役職はインタビュー当時)
調達二課の役割とは?
勝田
本日はキヤノンマーケティングジャパンの男乕さんにインタビューさせていただきます。
よろしくお願いします。
男乕
よろしくお願いします。
勝田
まず、現在のお立場や社内での役割をお聞かせください。
男乕
私の部署では、国内取引先からの間接材調達を担当しています。
課長としてチームメンバーを率いています。
勝田
間接材というのはどのようなものを調達しているのでしょうか。
男乕
再販品ではなく社内で使用するものが該当しますが、大別すると、自家消費物品(社内使用するもの)と販促品(カタログ・POPなどの販促材)となります。
勝田
量販店に置く大きなパネルや御社がお客様先に直接出向いて用いるセールスツールのようなものでしょうか。
男乕
そうです。
量販店店頭に置いてある商品告知用のパネルやカタログ、ポスターもその一部です。
キャンペーンにて用いるプレゼント品も販促品の一部です。
CPPを知ったきっかけは?
勝田
男乕さんはCPPを取得されましたが、資格所得に取り組む前、調達担当としてどんな課題や問題を抱えていましたか。
男乕
2010年に営業部門から調達本部へ異動しました。
初めは貿易業務課という部署で、輸出入の手続きと海外取引先からの仕入業務を行なっていましたが、2015年に現在の調達2課へ異動となりました。
当時、海外調達と国内調達では大きな違いがあることに戸惑いました。
海外業務と国内業務に差異があることは当然の話ではありますが、そもそも、調達業務の基本(領域や役割とは何か?) といった知識全般が足りていないことを感じていました。
勝田
CPPはどういうきっかけで知ることになりましたか。
男乕
現所属へ異動したタイミングにおいて、幸いなことに調達本部がメンバーのスキル向上に向けた取り組みを開始していました。
「CPPを全面的に採り入れていこう」という方針が掲げられ、受験するきっかけをいただきました。
勝田
実際に勉強を始めるに当たって、まず何から手をつけられましたか。
男乕
調達に関する書籍は決してポピュラーではありませんので、4冊セットになっていた「調達プロフェッショナル スタディーガイド」を必死になって読み込みました。
勝田
読み込み以外に何か取り組まれた勉強などはありましたか。
男乕
読んでいると、それまで知らなかった単語が当然出てきます。
先ずは意味を理解し、実際の業務の中で使える単語だということが分かったら、積極的に言葉にし、意識して取り組むようにしました。
そうすると、ただ単に本を読み込む以上に自分の身になって覚えられることを実感しました。
勉強時間は限られていましたが、並行してそのような取り組みを続けました。
勝田
学習したことや覚えたことをすぐ現場で意識しながら実践したわけですね。
男乕
そうです。
勝田
男乕さんの部下の方もたくさんいらっしゃると思いますが、そういう勉強中の取り組みをしていることは気づいていましたか。
男乕
ある時点から気づいていたのではないかと思っています。
お恥ずかしながら、最初の試験に私は落ちました。
準備期間が数カ月あったのですが、合格出来ませんでした。
それで尻に火がついて、残りの半年間はそういう言葉を意識的に投げかけるようにしていました。
その頃から、課員たちも少しは気づいていたのではないかと思います。
合格したあと仕事に活かしたことは?
勝田
実際に学習を進めるに当たり、苦労した点や障壁となったことがありましたら、教えていただけますでしょうか。
男乕
勉強に多くの人が通勤時間を使っているようですが、私も同じです。
社内では先程説明したように、積極的に口に出し、行動につなげるように努めました。
また、モチベーションを上げるため、CPP公式サイトで公開されているインタビューをよく読むようにしました
勝田
参考になった会社インタビューはありましたか。
男乕
製造業が多かったので、私の担当業務からはイメージ出来ない部分もありましたが、商社系の仕事からは親近感と共感を覚えました。
勝田
男乕さんは実際に何回か受験してCPPに合格されました。
合格したときの気持ちはどうでしたか。
男乕
先ほどの話にも重なりますが、かなりのプレッシャーがありました(笑)。
プレッシャーから解放されたという喜びと、純粋にうれしかった気持ちが入り混じっていたようです。
以前は調達領域に資格試験があるとは知りませんでしたから、これで正真正銘の調達部員になれたという感覚もありました。
勝田
自分のスキルを証明することができたというお気持ちでしょうか。
実際に合格してから、CPPの合格経験を仕事に活かしていると思いますが、具体的にはどんなことをしましたか。
男乕
キヤノンマーケティングジャパンでのメインの仕入れ商品はキヤノンブランド商品であり、全体の70%を占めています。
調達本部が扱っているのは残りの30%の部分ではありますが、多くの取引先に支えられており、調達の役割が大きいものだということを改めて感じることが出来ました。
自分たちの仕事が会社にどれほどの影響を与えているかを意識して仕事できるようになったので、課員には数字に強くなるとともに、自分の仕事に誇りを持ってほしいと伝えるようにしています。
ただ、自分達が専門的知識を十分に携えていないと、他部門からの信頼を勝ち得ることは出来ません。
その意味からも、CPPは1つのステータスとして有用な資格ではないかと考えています。
CPPを活用した3つの効果とは?
勝田
CPPを導入するお客様には、ご自身のスキルを証明するというのと、社内の共通言語としてCPPに出てくる用語を認知させたいというところが多いようです。
例えば、製造業の方だと、製造部門と購買部門で同じことを指す言葉なのに、言い方が全然違ってかみ合わないことがよくあるそうです。
CPPを活用して言葉の標準化を進めれば、そういった悩みが解消されることになります。
社内のコミュニケーションも恐らく、円滑になり、メリットが出てくるのではなかろうかと思います。
男乕
私が在籍している調達本部は、国内調達部門と国際調達部門、またそれらをサポートするアドミニストレーショングループ(企画・管理統制)により構成されています。
製造部門ほどではないかもしれませんが、いくつかの業務領域が存在します。
したがって、お話に出てきたような共通言語で会話することは、業務基盤の標準化にとり有用なことであると思います。
勝田
これからCPPに取り組まれる方がいらっしゃると思います。
その方々へメッセージや激励をお願いします。
男乕
先ずは社内に対してですが、社内で調達のステータスを上げることが必要であると感じています。
ステータスを上げることができるメンバーが1人でも多く輩出されることを期待しています。
そのためにも、CPP試験を目標の1つに据え、トライしてほしいと思います。
正直に言えば、例え落ちたとしても勉強したことは確実に身に付きます。
今回、私も1度試験に落ちてそれが分かりました。
諦めずにトライを続けてほしいと思います。
勝田
社外の方に対してはいかがでしょうか。
男乕
そこはちょっとやめておきます(笑)。
そんなことを言えるような立場ではありません。
森宮
受験を検討しているが、キツそうだと感じながら、インタビューを読んでいる以前のご自身に対してなら、どうでしょう(笑)。
男乕
最近、他社の調達担当の方との情報交換を行っていますが、皆さん同様の苦労をされていると思いました。
本体だけでなく、グループ会社全体に調達を広げようとするなど、様々な努力をしているようです。
CPPのインタビューを読むだけでもそのことに気付くことができます。
それだけで1度受けてみようという気持ちが湧いてくるのではないでしょうか。
まずはホームページをのぞいてみるなどして、本当に苦労している仲間があちこちにいることを知ってほしいですね。
グローバル視点からみたCPPとは?
勝田
実際に合格されて、このCPPに対してテキストにこんなことを入れてほしいとか、試験制度全体に対する要望は出てきましたか。
海外サプライヤーからの調達経験もお持ちのようなので、グローバルな視点も踏まえてご意見をいただきたいと思います。
男乕
試験制度をトータルで見ると、グローバルなテーマに関する内容は少なかったと思います。
国内の人と話していても、納期・物流など海外との問題は必ず出てきますので、グローバルな内容がもっと多くてもいいと思います。
その場合、国内と海外を明確に分けてしまうのではなく、国内と海外のつながりが見えてくるような構成になっているといいと思います。
国内担当者は海外の部分は関係無いというようにならないような配慮が必要だと思います。
勝田
国内調達の担当だから、国内だけを読んでいればいいとかではなく、通しで読めるような構成が必要というわけですね。
男乕
そうです。
読んでいたらいつの間にか海外につながったという構成が良いと考えます。
勝田
以上でインタビューを終了します。
どうもありがとうございました。
男乕
ありがとうございました。