2017年11月期最高得点者インタビュー (キリン 古沢氏) その3|試験勉強で工夫した点とは?
キリン株式会社の古沢 信之さん(調達部 原料・資材グループ(原料)調査役)にお話を伺いました。(以下敬称略、お役職はインタビュー当時)
試験勉強で工夫した点とは?
森宮
B、A級の受験を通してご自身の学習方法では、お忙しい中どのような工夫をされましたでしょうか?
古沢
原料や資材を使う側の経験は長くあったのですが、実際に購入する調達部門に所属するのは初めてでしたので、調達の基礎を勉強する良い機会だなと思い、ガイドブックなどは読むようにしました。
B級は知識を問う問題が多く暗記中心の勉強で対応した記憶があります。
一方、A級試験は結構、複合的な問題という感じがしました。
私のような実際に調達実務の経験が少ない者にとっては応用的なところがあると感じました。
試験では1つは、出題の意図・テーマをつかむことが重要と感じました。
例えばコストリダクションなのか、リードタイムの短縮なのか、グローバル調達のことか、新規サプライヤーの選定なのか、開発購買なのかなど、など出題の意図・テーマを把握する必要があるなと思いました。
学習する時もこれらのテーマについて、何がポイントかというところをメモ書きなどにまとめ把握しておくことが有効かと思います。
もう1つは、その問題のケースがどのような会社・品目の状況の事例などかということを把握することが重要かと感じました。
コストリダクションの問題でも、どういう打ち手をするかは状況に応じて変わってくると思います。
例えば取引金額の大小であるとか、代替サプライヤーがあるかどうかとか、あるいは過去にCRにどれ位取り組んでいるか、原価の算定しやすいものかどうか、発売から終売までのステージがどの辺にあるのかなどです。
そのようなことが掛け算で問われている問題で、問題のケースの状況を良く把握した上で最もに適した選択肢を選ぶことが求められていると感じました。
それぞれのステージ・状況に応じてどういうところがポイントなのかというところを整理しながら、テキストを自分なりに読み直しました。
森宮
非常に重要なお話ですね。
購買調達の業務は複合的であり、状況に応じて対応する必要があります。
古沢様の多彩なご経歴がそのような視座の獲得につながったのかもしれません。
古沢
当社の事例でも麦芽とか大麦のように長年取引しているが、天候・年産により品質上の差異がでる可能性のある農産物と、資材などのように汎用的なもので規格化が行いやすいものでは、そのアプローチの仕方は変わってきます。
実務においてどういう打ち手が良いのだろうかというところを考える時に、客観性を持って個々のケースを確認し打ち手を考えると言う点で CPPの問題と共通点はあると思います。
一方、開発と調達はどう関わっていくかというようなことも考え方を整理する上で参考になることがありました。
森宮
CPP資格は業界横断の資格なのですが、たまに「うちの業界でのやり方にそぐわないのでは」という声も聞きます。
古沢
あまり狭く考えなくても良いのではと思います。
そもそも勉強したことが100%すべて役に立つかというと、そうではないと思います。
調達業務の全体像を理解した上で、実務に取り組むと言う意味で価値があると思いますし、調達の定石やイロハなどを体系的に学ぶには有益な教材だと思っています。
狭い世界で考えると単なる相対のやり取りだけで終わってしまうこともあるかもしれません。
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